~ソフトウェア品質の向上とそこに関わるすべての方へ~ Software Quality Profession


第6期 第8回ソフトウェア品質保証部長の会 ミニ発表会概要レポート
 
 

開催日:2015年6月3日(水)

今回は、9月に開催されるSQiPシンポジウムに向け、中間進捗状況を報告する“ミニ発表会”です。
発表テーマは全部で6つ。各グループの発表概要を紹介いたします。

中間発表風景
中間発表風景



●グル―プ1「品証組織の進化と品質向上に向けて」
発表者:村野 耕一氏(ブリヂストンソフトウェア株式会社)

【内容】

グループ1の今期の活動テーマ「品証組織の進化と価値向上に向けて」について「各社の品証組織がそれぞれ置かれている状況下で早く成長するために何をなすべきかを明らかにする」を目的として活動を行っています。
具体的には「2011年に発表した進化論を、現実的に実行するためのあるべき行動と陥りやすいワナを明確にする」ことを目標に掲げ、検討、議論のさなかにあります。


図・1 品質保証組織の成長過程

図・1は進化論の説明の中の4象限で表された品質保証組織の成長過程です。
横軸は管理の充実度合いを表しています。下段の4象限と3象限は、従来型の組織の成長過程を表しています 。上下段の差は、組織の成熟度としました。
今回上段の2象限、1象限が検討の中心で、2象限が従来型組織の到達点と考えました。
4象限から3象限、2象限の間には壁があるという見解に達しています。
壁を突破するには、「品質保証部長の会」の他のグループの成果を活用することが効率のよい“肝”ではないかと考えています。

上段の成長過程について検討した結果、次の意見が出ています。
従来は2象限から1象限に進化する道があると考えていました。しかしながら、討論を進めるうちに、2現象から1象限に向かうパス以外にも別の進化があるのではと考えるようになりました。従来型の組織成長の先に、実は”見えない天井”があり、この先に「とことん品質追究」、例えば「アジャイル開発への対応」、「超上流の品質管理」などがあるのではと考えています。
そこで、従来の1象限のもつ意味は何かということを徹底して考えたところ、会社(経営)から品証への要求に合わせた進化ではないかということです。
例えば、品質保証業務の効率化を求められたとすると、その対応例として開発部門に自主自律を期待して品質保証業務を簡素化することがあると思います。
しかし、ここでも問題があります。相手によっては、折角の改善であっても品質の停滞や劣化、活動の衰退になり、今まで築いた品質体制・体系が崩れるかもしれません。
このようなことになると、また1から始めることになってしまうわけです。


このように、どの象限にあっても進化に際して、悩み、問題はついて回ります。
グループ1では「品質保証部長の会」の今までの蓄積が、この悩み、問題の解決につながるよう整理を進めて行く予定です。



図・2 進化の過程

図・2は、進化の過程は1つではないということを表しています。
ソフトウェアの品質保証は環境、時代の影響を強く受けるもので、大きなイノベーションの都度見直され、新たに象限を作り上げていると考えていました。
その際、次の進化論に遷移するに当たり、果たして同じ象限に移れるのだろうか、もしかしたら元に戻ってしまうのではという不安、悩みが出てきました。
これに対しての見識を出すべく、継続して11月の成果発表会に向けて整理していきます。



●グル―プ2「超上流からの品質保証 partⅢ」
発表者:増瀬 英雄氏(株式会社島津ビジネスシステムズ)

【内容】

私たち「SQiPソフトウェア品質保証部長の会」では、『超上流からの品質保証』について研究を始めて今期で3年目となりました。
今期は、品質保証部門長が提案フェーズで「発注側」と「受注側」それぞれの立場で課題に直面し、契約成功に向けた品質保証を検討しています。
まずは、受注側が発注側の立場にたってみると、何が大事だと考えるかを洗い出しました。
続いて、入札事例をもとに入札のポイントが何かを検討し、品質保証部長の目で独自に評価をしました。
これらを検討し、「ユーザとベンダーの思いは、QCDのCDは相反するが、Q(品質)だけは、思いは一致する」、「保守を直接行っている品質保証部門では、超上流へつながる情報【現場の声】から提案品質の向上ができる」という結論を導き出しました。
今期の後半で品質保証部門として、提案フェーズで何をするべきかをまとめていきたいと考えます。



●グル―プ3「ソフトウェア品質保証の肝」
発表者:佐藤 孝司氏(日本電気株式会社)

【内容】

グループ3は、これまでの進捗状況を中心に中間発表しました。
特に、2月以降の検討の軸は、前期までに作成・発表した85個の”品質保証の肝”についての精査です。
残念ながら、5月末時点で進捗は全体作業量の50%程度であり、この調子で進むと、精査作業の完了が11月までかかってしまいます。
そこで、グループメンバで話し合い、7月末までに臨時会合を3回設定して、遅れを挽回する対策を合意しました。
なお、本発表に関してフロアから次の意見がありました。
・教育面についてわかりやすいように、誰が見てもわかるようなものを作成してほしい。



●グル―プ4「設計工程での品質施策」
発表者:山越 一弘氏(株式会社IHIエスキューブ)

【内容】

グループ4は、設計工程における品質確保のための施策として「要求・要件定義の合意形成」にスポットを当て、要求・要件定義の合意形成レベルを上げていくための考え方や施策を検討し、紹介することにしました。そして、そのツールの事例として「D-Case」を取り上げて、適用事例や導入効果を調査し、そこから合意形成促進のポイントや課題を得たいと考えています。
D-Caseに関する有識者である名古屋大学の山本修一郎先生に対するヒアリングを中間発表の直前に実施。その結果を参考にして、D-Caseの活用事例を深掘りし、合意できること、合意すべきことを整理していき、今年度の目標である合意形成を促進するための考え方や施策を提言したいと考えています。


【Q&A】

Q.世の中にはD-CASEの活用術はあるのか。
A.そんなに実用例は多くいないが、デンソーさんとかが活用されている。

Q.顧客との合意形成の「顧客とは誰をさすのか」、その人たちと合意することで、エンドユーザーにつながるのか。
A.そこを追求していくのが今後の課題である。



●グル―プ5「スピード経営を実現するためのアジャイル開発、品質保証部門は何するの?」
発表者:榊原 康之氏(株式会社ニコン)

【内容】

アジャイル開発であっても品質はしっかりと見ていかなければなりません。その一方、品質を厳しく見ることで、アジャイル開発の長所を損なうことがあってはなりません。
二律背反ともいえるこの課題を中心にあるべき姿を検討し、各協会・研究所の取り組みや有識者(OSK:小井土様、戦略スタッフ・サービス:三井様、NEC:誉田様)から部長の会へいただいた助言の紹介がありました。



●グル―プ6「品質意識を醸成するには?」
発表者:川原 章義氏(日本システム株式会社)

【内容】

SQiPシンポジウムでの発表を意識して、発表ストーリーにそって今まで討議してきた内容について発表がありました。
(発表ストーリー)
 1)どのような状態が品質意識が低い状態か
 2)上記に対する原因と対応策
 3)どのような状態が目標状態なのか?目標状態にするにはどうしたらよいか
討議中でもあり、2)は2例の紹介がありました。3)については7-8月に集中的に討議します。



上記6つの発表のうち、「超上流からの品質保証」「設計工程での品質施策」「スピード経営を実現するためのアジャイル開発、品質保証部門は何するの?」「品質意識を醸成するには?」につきましては、9/17-18に開催いたします「ソフトウェア品質シンポジウム」で発表いたします。


シンポジウムでの発表をご期待ください。

▼「ソフトウェア品質シンポジウム(SQiP2015)」の詳細はこちら

 




第6期 第6回、第7回ソフトウェア品質保証部長の会 レポート
 
 

開催日:
第6回 2015年4月1日(水)
第7回 2015年4月28日(火)

ソフトウェア品質保証部長の会は、原則として毎月第1水曜日に実施していますが、5月はGWがありますので、5月分を前倒しにして、4月に2回実施いたしました。
4月1日と28日という日程にも関わらず、多くのメンバーご参加のもと、活発に議論いただきました。

本レポートでは、4月に実施しました2回分のグループ討論の内容をご紹介いたします。


●グル―プ1「品証組織の進化と価値向上に向けて」
第6回(4/1)
以下の内容について議論した。

(1)過去成果の確認

・第1期部長の会第3グループ「品質保証部最前線~オジサンたちも悩んでいる~」
・第2期部長の会第1グループ「品質保証プロセス進化論」
・第3期部長の会第3グループ「しくみからのブレークスルー」

(2)品質保証部門の他部門から見た価値は?について
(3)メーカー系とSI系の品質保証の違いについて
(4)品質保証の人材教育について

次回は、「品質保証プロセス進化論」で紹介されている第1-4象限において検討すべき課題と対応案について議論していく。


第7回(4/28)
以下の内容について議論した。

(1)衣川さんより日立ソリューションズでの取り組みをご紹介いただいた。
(2)村野さんよりブリヂストンソフトウェアで標準化を行って生産性を高めたお話をいただいた。
(3)山下さんよりTISで標準化を進めたが、全社統一プロセスに行き詰りが出てきたので、統一部分は小さくし、
各事業部で改善できるように変更したお話しをいただいた。


引き続き、議論を行った。

・全社統一プロセスでは現場意識レベルが低下した(守るだけ、意味は考えない)
・進化論作成時点と時代も少し変わってきたのでは?新たな進化?
・統制品質から自律品質へ
・組織ステップとしては「混乱~独自~定着~停滞~自律」となるのでは?

各チームがオリジナルな管理をしているという意味で

・進化論は統制品質の四象限で、自律品質の四象限もあるのではないか。
・究極の品証部門は社員教育と顧客対応窓口だけの組織なのでは。
・自律品質に進むきっかけは生産性か?生産性の先に創造性があるのかもしれない。


●グループ2「超上流」
第6回(4/1)
WEB上で募集された企画提案に対し公開された6社のプレゼン資料とプレゼン動画を見て、「成功/失敗 のカギはどこにあったのか?」を検討した。

1.はじめに
・提案書(資料):書くべき項目の選択が重要である。ページ構成など。
・プレゼンテーション:プレゼンスキルについては、教育・人材育成の議論となりそうなので、スコープから外す。

2.提案書の質
【要求について】
・要求の背景を正しく理解することが重要

→その事業の必要性が生じた本質の問題を正しく理解し、その中から適切な課題の抽出を行う。
※「課題の質」。ずれた課題を定義することによって、活動方向がぶれる。

・誰のために行われている事業なのかを正しく認識すること

→誰のためのシステムを構築するのか?
→ユーザー目線で考えられているのか?


【資料作成技術】
・資料の構成

RFPに明記されている。
上位2社のうち、1社はRFPに書かれてある通りで作成。もう1社はバラバラである。
RFP指定の文書構成の方が、読みやすい。

・ページ内の構成

字が小さい、多いなど、見にくいページが散見される。
「絵」「図表」は、適切に利用すべき。
→提案内容を抽象化して、それを表すスキルが必要だと思われる。

・ページ間の構成

標記の統一性(フォント、サイズなどは、最低限統一が必要)。
作成担当者ごとによる、ベージのばらつきを抑える。
→作成後、全体レビューを行う必要がある。


【その他】
提案書の書き方について
・「xxxをやります。」 ← 通常の提案
・「xxxをやります。そうすると○○○ができます。」 ← 響く
○○○のところがきちんと書けるということは、要求の背景を理解しているということ。


第7回(4/28)
次の3件について議論した。
1.中間発表(6/3)のシナリオ(流れ)について
2.品証部門は、超上流の段階で、何をすべきか?
3.その他(今後の議論の参考にするキーワード)


【議論の内容】
1.中間発表のシナリオ(流れ)について
これまでのGR2の活動は、Web公開されている資料の分析を行った。

・勝ち組のシナリオ
・負け組の要因

など


今後のGR2の活動は、「品証は何をするのか?」という視点で議論を行い、まとめ上げていく。


2.品証部門は、超上流の段階で、何をすべきか?
ソフトウェア開発業務とは、成果物(システムやサーバーなど)を顧客に納品するものではなく、それを通して、『価値』を提供している。
これは、先日の飯塚先生の講演の内容そのものである。これを、再度認識して議論を進めていく。


事業のGoalとしての考え方
・ビジネス品質(経営品質)
(視点)お客様のためになることを踏まえて、仕組み(プロセス)を回すことに置き換えられるのではないか?


提案書の内容に付加価値を与えられるものについて
・品質についてどこまで触れていくのか? ← やっぱり、「安心・安全」!
(例)品証部門が組織をリードするための業務


◆失注分析(営業企画部)が作成したものを分析
・プロセスチェック/プロダクトチェック
→ 案件審査・リスク管理(受注するかどうかは究極の選択だが、これも判断)


◆提案書の品質を上げるための教育
・企業の価値を上げる
・顧客が分かりやすい文章
※誰もが知っているだろうと思っているが、実は誰も知らない。略語を使わない。
(逆手を取ると)顧客のIT知識レベルをはかる手法かもしれない。


◆品証の業務は?
・事業部間のレビューを行う時に、品証がファシリテーションを行う。
・素案(提案書、仕組み等 いろいろ)は、営業や企画部、設計部門等が作成するが、運用は品証が行う。
・探針(顧客満足度を図るために、CS(顧客満足度)を、直接顧客に聞いたりする。(超下流からのアプローチ)
→仕組みを作って、それを回すこと(PDCA)


3.その他(参考≪キーワード≫)

◆≪超下流≫(お客様がご利用いただいている現場)から、≪超上流≫へのフィードバックが大切。
プロセスライフサイクル全体をみて、PDCAを回していく活動が大切だろう。


◆開発手法と経験についての社内活動の≪見える化≫について
→アジャイルのように、ビジュアルに説明できる方法はないか?


◆第一線・フロントエンド(顧客先の保守)のエンジニアは、≪戦場≫にいる。
品証部門・バックエンドは、フロントエンドをきちんと支援することが大切。


●グループ3「肝」
第6回(4/1)
・1件ごとの肝の精査を実施中である。
・約10件の肝の内容について、表現の分かり易さ、ポイントの明確化、補足説明の必要性などを、
メンバー全員で話し合った。
・100件近い肝を1件ずつ精査しているので進捗は遅いが、メンバー間での議論は有意義である。
あらためて、何が肝なのか?この意見には偏りがないか?など、様々な観点から議論ができている。
・今後は、進捗のスピードを上げるために、残りの肝を各メンバーで分担して、
メールで事前に精査した結果を持ち寄り、効率的に会合を進めることを合意した。


第7回(4/28)
・「品質保証の肝」の85件を1件ずつ精査中である。
・件数が多いため,各メンバーに担当する肝を割り振り、事前に各自で修正案を作成し、
会議の場では効率よく進めることにした。
・4/28の会議では20件の精査を終わらせる予定だったが、約半分の進捗で終わってしまった。
裏を返すと、1件ごとの肝の内容に関する議論が深いため時間がかかっている状態であり、
メンバー間の意見交換をする場として有効であると解釈している。
・今後は進捗と議論をもう少しバランスよく考えながら進めていきたい。
・なお、グループ3は書き物を残すことを第一義としており、SQiPシンポジウムでの発表の対象ではない。
ただし、6月の中間発表では、現状の作業状況を報告する予定。


●グループ4「設計工程」
第6回(4/1)

【テーマの検討の背景】
設計工程での合意形成がうまく取れていない。これらが、品質問題に大きく影響している。


1.D-Caseで合意形成、暗黙知の見える化が可能であるとする前提で議論
(課題)設計思想が明確に表せていないとか、残したいとか。

->現行システムで、これができれば大きな問題にならない。
->現行システムで、設計が資産になっていない(他人が理解できないものになっている)。

(ソリューション)現行システムで、設計思想の合意形成ができる。理解できる内容になる。


2.合意形成ツールとしてのD-Caseをテーマにした場合のゴール
(課題)得意、不得意な領域や対象がないか?

->品質視点で、ゴールは書けると思われる。
->HMIなどの画面仕様は顧客と合意がとりにくい。
このようなHMIなどの仕様の合意も得意か?
->D-Caseをツールとして利用する場合のナレッジに問題がないか?


○現在の事例は、試用的なものが多い。そのなかで、ポジティブな発表が多い。

->使い方や適用事例など
->使ってみた本音、ポジティブだけでなくネガティブな部分


○名古屋大学の山本先生がこれらの解を持っているのではないか。

次の議論について問いを山本先生にヒアリングしたい。
・顧客とどのように協力関係を構築できるか?
・合意形成を目的として、D-Caseのような手法を取り入れる障壁は?
・業務を知っている人材が不在な時


3.暗黙知を合意形成する方法としての合意形成
・取り込まれない要因(議論)
・現状で忙しく実施しているやり方を変えたくない。
・実施したときの価値を示す、トップダウンで進める。
・説得力は何か?(訴求力)
・得意、不得意は? → 効果が見えやすいところ
・D-Caseが定着化している事例(現状は、やってみました系の事例が多い)
・顧客が受け入れない → 文章(自然言語)で展開する。 → 自動翻訳


【議論結果】

「合意形成が設計工程での課題の一部を解決することができそうである」という議論はできた。ただし、普及するには課題がある。議論の中で挙がった課題・疑問の解(ヒントでもよい)があれば進めやすい。有識者に意見をもらう前提で、品質保証部長の視点でどのように取り組めばよいかを検討して示唆する。


第7回(4/28)
本グループの活動では、設計工程における品質確保のための施策を、実例を中心に検討し紹介することとし、まず、「要求・要件定義の合意形成」にスポットを当て、そのためのツールの事例として、D-Caseを取り上げて検討している。

5月中にD-Caseの有識者(大学の先生)へのヒアリングを実施し、適用事例、導入効果や現状の課題等をまとめる予定であり、今回は、その内容を検討した。

今後、その結果から「要求・要件定義の合意形成」という課題の本質に迫っていきたいと考えている。


●グループ5「アジャイル」
第6回(4/1)

1.次回の活動について検討を行った。
・アジャイルの有識者(小井土さん、三島さん)に参加していただけるので、お二方に聞き取り調査を行う。
・エンタープライズ系と製品系のプロセスの流れに従って、聞き取りをしたい内容を事前に先方に連絡する。


【聞きたいこと】
・実質のプロダクトオーナーは誰なのか。
・必要最低限のドキュメントで困らないか。保守ができるのか。
・多能工が必要と言われているが、本当にそのような人で行っているのか。
・メトリクスは何を使っているか。
・出荷判定をどうしているのか。


2.中間発表での発表内容について
・アジャイルをやりたいと思いながら悩んでいるところがあるので、それに対する提案ができるとよい。
・エンタープライズ系、製品系などの違いによって、どのようにQAが入るべきか。
どこが問題になるかが分かるようにする。
・品質保証としてどう関わっていくかの事例を示す。


第7回(4/28)
ゲストを迎えて討論を行った。
小井土亨さん 株式会社OSK
三井伸行さん 株式会社戦略スタッフ・サービス、社団法人 TPS検定協会


・アジャイルに向いている案件とは? 品質保証はどの段階で関わるべきか? どのようなデータをとればよいのか? 上司への報告(成果の表し方、数値化)などについて、小井土さん、三井さんにお話しを伺った。


●グループ6「品質意識の醸成」
第6回(4/1)
品質意識と大きく関係する4つの要因(問題意識、当事者意識・責任感、成長意欲・向上心、危機意識)に分類し、「あるべき姿」と「悪い状態」を整理した。
表現の見直しなどを行い、4月中には完成させる。
さらに、「悪い状態」に対しその原因と改善対策を追加検討して、次回(4/28)に討議することとした。


第7回(4/28)
今までの検討内容をまとめた一覧の見直しを行った。
・症状に、原因と思われる内容が記載されており、同じようなものがある。
・原因と処方が裏返しのものがかなりある。
・原因もいくつかのキーワード(プロセス、風土など)があり、これでくくれるのではないか。
・1つの症状でもいくつかの原因があり、これをさぐるための問診が必要である。
・症状→原因→処方、この処方をしても、普通のレベル(普通のレベルも定義できていないが)になるぐらいで、
目標の状態にはならない。

以上の検討の結果、次のとおり進めていくことにした。
・症状を少し大くくりにして、典型的なもの10~20個ぐらいに絞る。
・上記で絞ったものに対して、原因を特定するための問診的なものも入れながら、なぜなぜ風に深堀していく。
・なぜなぜでは通常のレベルになる処方が出るだろうから、さらに、目標の状態になるにはどうしたら良いかも考える。
・すべてを同時並行的に進めるのではなく、1つずつ完成させていく。


次回の部長の会は6月3日に開催します。SQiPシンポジウムでの発表を見据えて、中間発表を行います。
次回もお楽しみに!

 




第6期 第5回ソフトウェア品質保証部長の会 レポート
 
 

開催日:2015年3月4日(水)

3月に入り、寒さもようやく衰えはじめた中、合宿後初の部長の会が開催されました。
今回は、前半90分は講演を聴講し、その後グループ討論を行いました。
合宿後、各グループの方向性も定まり始め、議論時間が短かったにも関わらず、深い討論をされたようです。

まず前半は、「進化する品質経営」をテーマに、東京大学名誉教授の飯塚 悦功(いいづか よしのり)先生にご講演いただきました。


【概要】
品質経営は時代とともに変化している。高度経済成長期と今では求められているものが違う。品質経営とは、すなわち顧客価値提供マネジメントであり、お客様に価値を提供するに当たり、自分たちのコアコンピタンスは何かをきっちりと把握していることが重要である。
商品企画に対してソフトフェアはすさまじい影響力がある。製品の価値はソフトによってつくられていると言って過言ではない。まさしく製品の魅力を出す原動力である。ソフトの担当者は言われた働きをつくるのではなく、商品企画に積極的に関わるべきである。

ここに参加されているソフトェア品質保証責任者である皆さんが、品質経営を支え、活躍されていくことを期待している。


講演いただいた飯塚先生

会場の様子
後半は、グループ討論です。今期のテーマは「品証組織の進化と価値向上に向けて」「超上流」「肝」「設計工程」「アジャイル」「品質意識の醸成」の6つです。

各グループの討論内容を紹介いたします。

●グル―プ1「品証組織の進化と価値向上に向けて」
今回、出席者が4名でしたので、前回合宿時の検討を踏まえて、これからの進め方を議論しました。
議論の結果、次の通り進めてみたらどうかということになりました。

1.次回課題
過去の発表では、当事の検討メンバが同じ悩みを抱えていて、それに対して解決に向けた提言を行った。
そのため、同じ解決策を考える必要はないと考え、まず先人の意見を確認し、その当事何を考えて来たかを理解してみることとした。

まず、各自で以下の資料を読んだ上で、議論を進めようと考えている。
*対象資料があるURL:http://juse-sqip.jp/bucho/index/

この中より、以下の内容を確認する。
・第1回3G「品質保証部最前線~オジサンたちも悩んでいる~」
・第2回1G「品質保証プロセス進化論」
・第3回3G「しくみからのブレークスルー」

各自には、気になる項目の抽出とそれについての疑問点、質問をリスト化し、持ちよっていただき、提案、提言について議論を行いたい。
1)どういう対策項目があるのか
2)対策について聞きたい事があるのか
3)提言の内容を今迄やってきたのだろうか
4)価値や有効性はどうであったか
5)継続しておこなうことについてはどうなのか

●グループ2「超上流」
1. 発注側の選定基準について検討した2/13臨時会合後、事前にメンバにメールにて展開された内容について
(1)提案チェックシートと受失注報告シートの項目抜粋一覧
1)実際に使用しているチェックシートだから、網羅性は高い。
2)一方で、お客様視点というより、受注側視点の項目になっているように思う。
(2)WEB上で募集された企画提案に対し、公開された6社のプレゼン資料とプレゼン動画の確認
(1社が受注、5社が失注)
1)6社を第一集団、第二集団、第三集団、第五集団に分け、差が付いた所、その差に対して、
受注側品質保証部ができる事を表に整理した。

2.飯塚先生の「進化する品質経営」を聴いて
1)顧客満足度向上という言葉を使っていない。
2)先生が説明されていた「経営基盤としての製品・サービスを通した顧客価値提供」という考え方は、しっくりときた。
⇒本活動でも、飯塚先生講演内容や考え方を反映したい。

次回以降は、WEB上で募集された企画提案に対し公開された6社のプレゼン資料とプレゼン動画を、各自「成功/失敗のカギはどこにあったのか?」に着目し、分析する。
まずは、ソフトウェア品質保証という視点にこだわらないで分析をしていきたいと思う。

●グループ3「肝」
1)現在、肝の内容(文章表現を含む)の精査および補足説明の追記を実施中である。
・合宿時に、2.1~2.7章分(肝21件分)の精査を完了した。
2)毎月5章分×4か月=20章分の精査スケジュールを設定した。
3)今回の3月分では、No.17-No.31の肝の内の精査を予定し、事前にメールベースで内容の修正案や疑問点を
洗い出して情報を共有した。
4)今回の議論では、グループ討議時間も考え、1件の精査を皆で行った。
5)メンバ内で、今後の進め方、作業分担、オフ会設定などの提案があり、次回(4月)までにMLベースで
意見交換することとした。

●グループ4「設計工程」
合宿での議論に引き続き、検討の進め方を中心に議論した。
本グループの活動では、設計工程における品質確保のための施策を、実例を中心に検討し紹介することとし、まず、要求・要件定義の合意形成のためのツールとして、D-Caseを取り上げて検討することとした。ツールの適用事例を収集するとともに、見識者(大学の先生)の講演を事務局にて検討頂く予定である。 次回以降、適用事例の整理を行っていく。

●グループ5「アジャイル」
これまでの議論では自社の状況、アジャイル開発の疑問点などフリーディスカッション中心であったが、今後は品質保証部門がどのように関わるべきかに焦点をあて議論を進める。
例えば、QAとしてPJの中に入り込む、もしくは、あるタイミングだけ関わる、チェックリストの作成などを考えている。
また、メンバはエンタープライズ系の受託開発、製品への組込みなど業種が多岐にわたっており、前提条件を明確にした上で関わり方を考えていく。

上記内容が固まってきた段階で、アジャイル開発を実践し品証部門として関わってきている方から話を伺う場を作り(NEC誉田さん、5月中旬を予定)、ヒントにしていく。

●グループ6「品質意識の醸成」
合宿時の品質意識の低い現象や高い現象から品質意識モノサシを完成させようとしていたが、原因との関係なども考える必要がある。
まずは、現象から整理するのではなく、品質意識と大きく関係する4つの要因(問題意識、当事者意識・責任感、成長意欲・向上心、危機意識)に分類し、「あるべき姿」と「今の状態」を整理していくことにした。これを整理した後に、上記以外で重要そうなものを合宿で討議したものから追加して、4つの要因との因果関係なども考えていく方法とした。この様に進めれば、現象から原因を紐づけることができるし、さらに対策なども練りやすい。
当てはまる状態が1つあると、同じ原因要素の中の、他の状態も内在しているという事にも着目し、対策も原因解消措置以外に予防措置もだせていければ最高である。


次回の部長の会は、年度始めの4月1日に開催です。
それでは、次回もお楽しみに!

 




第6期 第4回ソフトウェア品質保証部長の会 レポート
 
 

毎年恒例の1泊2日の合宿を、今期も実施しました。
皆さん大変お忙しい中、スケジュールを調整いただき、今回の合宿には過去最多の31名の方にご参加いただきました。


開催日:2015年1月30日(金)~31日(土)
会場:四季の湯温泉 ヘリテイジリゾート

初日は生憎の雪模様で、交通手段への影響も懸念されていましたが、ほとんど積もることもなく、皆さん無事に宿泊施設に到着!予定通り合宿がスタートしました。
全員での討議に引き続き、グループ別の討議を実施、夜遅くまで熱い議論を繰り広げていました!

 


集合写真
合宿に参加いただいた方々


●1日目前半
1日目前半は、3人のメンバーにご提案いただいた3つのテーマについて、全員で討論しました。

【参加者からの希望テーマ(合宿用テーマ)討論会】
1. 山越 一弘さん(株式会社IHIエスキューブ)
ご提案:テーマ「世界の品質、魅力的品質」
魅力的品質:それが充足されれば満足を与えるが、不十分であっても仕方がないと受け取られる。

Q1. グローバル市場を相手にするとき,従来の日本的な品質保証の考え方は通用するのか?
Q2. グローバルな視点で魅力的品質とは?

意見:

・海外では安い⇔汚い、高い⇔綺麗の傾向が強く、それはソフトウェアにも共通している。
・日本は組込みの品質が高い。 ・低品質は、結果として自分の首を締めることになる。
・(過去十年くらいの経験)アメリカの場合、企画書は良いが、実際の質は悪いことが多い。苦情が出てから修正すればよいという考え方が強い。
・CMMI:レベル5を取っていても、会社によって違いがある。
・エンジニアの考える力が下がっている。
・設計者に言われたとおりに作成するのでは、魅力的品質は誕生しない。

2. 増瀬 英雄さん(株式会社島津ビジネスシステムズ)
ご提案: テーマ「弊社と同様な業務形態である他社の品質保証についてどの様に実施しているのか、課題は何か」

1.品質保証をどの様に実施したら良いのか?
Q2.実施するに当たっての課題は何か?

意見:

・要望に対する課題を如何に少なくするかが重要である。
・大きな部品と小さな部品の規格を同じにしてはいけない。
・要求獲得、要求開発 →要求をきちんとお客さまと協議しなくてはならない。
・発注側の品質を上げるためにはコンサルタントが重要である。

3. 早崎 伸二さん(株式会社リンクレア)
ご提案: 「品質文化の醸成方法」 企業内に品質保証文化をつくり、定着させることは、とても重要なことである。

Q.では、どのようにつくる(醸成する)べきか?

意見:

・声かけ、傾聴、挨拶など、コミュニケーションを重要とする。
・自分で気づくことが大事である。
・「人の成長はどうでもよく、質だけを求める」ではいけない。
・贔屓をすると人材は育たない。親になったつもりで、どんな子供に育てたいのかを考え、人材育成する。
・人間が育つために必要なことは、危機感とモチベーションである。


提案者の山越さん(左)、増瀬さん(中央)、早崎さん(右)


討論風景


●1日目後半~2日目
1日目後半からは、ソフトウェアの品質保証について、「品証組織の進化と価値向上に向けて」「超上流からの品質保証」「ソフトウェア品質の肝」「設計工程での品質施策」「アジャイルと品質、アジャイルの一部を利用して」「品質意識醸成、品質教育、人材育成」の6つのテーマに分かれ、今後の討論の方向性について検討を行い、2日目に討論内容のまとめと発表を行いました。

【グループ討論】
テーマ1.品証組織の進化と価値向上に向けて
活動の目的: 「各社の品証組織がそれぞれ置かれている状況下で早く成長するために何をなすべきかを明らかにする」
達成ゴール:
「2011年に発表した進化論を現実的に実行するためのあるべき行動と陥りやすいワナを明確にする」

2011年進化論と今後の発展について
(1)現状分析

1)置かれている事業規模に対する品証組織規模
2)業容形態
3)品証組織の役割、バリエーション、スコープ
4)経営層から求められていること
5)1)~4)を踏まえた悩み(何を求めた悩みか)

(2)2011年進化論の発展

1)2011年の引用
2)4象限→1象限の進化ステップだけではない
3)象限を乗り越えるための壁
4)乗り越えようとするときの陥りやすい罠
 ⇒乗り越えるために現実的にどうすべきか

(3)新たな進化に向けて

1)現状の悩みを克服してブレークスルーするためには
2)経営に寄与する品証組織であるためには
3)品証メンバが幸せになるためには
4)世の中に貢献する品証であるためには


品証組織グループの討論風景

テーマ2.超上流からの品質保証

活動目的とその背景:

・提案フェーズで発注側と受注側のそれぞれの立場で見た場合、検討できることがあるのではないか。
・これまでフォーカスしてなかった(できなかった)所にフォーカスしてみたい。

(1)発注側で考えた場合に期待することは?

・発注側にとって、ベンダーからの提案は、RFPの記述以外の内容は「ノイズ」になるもの、「当たり前」のもの、「嬉しい」ものがある。
・発注側がプロジェクトを成功させるための提案の選定条件とは。

(2)受注側でやるべきことは?

・受注側で提案品質を向上するためには。
・品質保証部門ができることは。

(3)今期の方向性について

パート1【第4期】:品質保証部の超上流への関わりについて把握
パート2【第5期】:各社の超上流の具体事例を紹介
パート3【第6期(今期)】:発注側と受注側にフォーカスし、何か提案していきたい。


超上流グループの討論風景

テーマ3.ソフトウェア品質の肝 活動の目的:
「各社・各個人の持つ品質保証に関するノウハウを形式知化し、初心者でも品質保証機能の本質理解を深めて活かすことのできるBOK(知識体系)※を完成させる」 ※KIMOBOK(Guide to the Kilo-Important Body Of Knowledge)
 副題;“品証部の煩悩を取り払う108つの肝”
達成ゴール:
「個々の肝を深く議論して全員が納得出来る内容に仕上げる。一肝一格言を目指す。」

(1)第5期までに作成した85個の肝について、粒度を見直し、SQuBOK樹形図により分類を見直す。
(2)肝に関して、参考情報や具体例の追加を行う。
(3)第6期に新規メンバが多く参加されているので、悩みや事例などについて、アンケートを通して募集し、肝の追加を行う。
(4)第5期までの肝以外の発表事例を精査し、肝に入れるべき内容を追加する。


品質保証の肝グループの討論風景

テーマ4.設計工程での品質施策

活動目的の背景(前提や事象、危機意識):

(1)システムの再構築に際して、プロの目から見て、(元の)設計書の書き方が悪いために問題に発展してしまう。
(2)若手が設計書の書き方を解っていない。
⇒設計書がしっかりしていないと、どうなるかが理解できていない。

(3)若手が設計を実施(担当)しないし、設計に対して思想もない。
(4)(参考にできる)良い設計書が残っていないことがある。
(5)手本となる設計者が、近く(見習える距離)にいないことが多い。
(6)設計作業の目的が、設計書を書くことになっている。
“設計をする”という
目的に達していないのでは?

(7)若い時から、プロジェクトマネージャーが手配師化している。
 【(7)についての課題】
・ドキュメントを見る目が養えないので、手配師としても二流である。
・テンプレートでなく、サンプルが求められている。
⇒考える体質が退化している。

(8)(テストの観点から)仕様書を検証する仕事も増えてきている。


今後の検討(活動)について


アジャイルグループ1の討論風景

テーマ5.アジャイルと品質、アジャイルの一部を利用して
活動の目的:
「顧客満足を上げる一手段であるアジャイルで、品質保証観点では何をするか探求する」
達成ゴール:
「アジャイルの品質(=顧客満足)につながるメトリクス探求」

(1)世の中では、どのようなメトリクスがとられているか。

1)その内容を自分たちの事例に当てはめ、問題や疑問を抽出する。
2)実践者に疑問を尋ねる。
3)アジャイルが上手く進む、品質保証部門の関わり方を考える。
・モチベーションを上げる、アジャイルを生かしたプロセスとは。
・無駄な開発をしないために、どうアジャイルを生かすか。

(2)次回(3月)は、顧客満足度に結びつくアジャイルについて調べる。

*前知識(アジャイル開発とスクラム)を得ておき、実践者への聞きたい質問内容を挙げる。



アジャイルグループ2の討論風景

テーマ6.品質意識醸成、品質教育、人材育成
活動の目的とその背景:

・昨今、品質意識が低い思われる現象が多くみられる。品質意識が低ければ、どのようなプロセスを持っていても、品質は良くならない」
⇒なぜ、品質意識が低いのか、及びその状態に応じた品質意識醸成のための方法を探ることとした。

(1)品質意識の程度を測定するためのモノサシが必要である様々な状態から、品質意識を測定するためのモノサシを(仮)で作成した。
(2)状態(症状)→原因(病名)→対応策(処方)の流れで、今後考えていくこととした。
(3)原因と対応策に関しては、品質意識が低い時と高い時の両方で考えていく。
 ・低い時→応急処置、体質改善策
 ・高い時→体質維持、体質強化策
(4)状態(症状)や原因(病名)については、仮説をたてて進めていくが、アンケートなどを実施して検証や補強なども行っていく。


品質意識醸成グループの討論風景


最後に、大阪で活動している「ソフトウェア品質保証責任者の会(SQiP-WEST)」の現況について、SQiP-WESTの準備委員兼SQiP部長の会の企画メンバである宿口さんから活動の紹介がありました。
責任者の会では、参加者からの紹介でサイボウズLive(メンバ紹介型スペース)を利用し、情報共有を行っており、毎月月末の月曜または土曜に活動をしています。活動テーマは、「人財開発」と「身の丈プロセス」の2テーマです。「人財開発」は、参加者からの提案により、育成(開発)カリキュラムを作成し、参加者のチームに適用して効果を観ています。「身の丈プロセス」は、より具体的な事例からサンプルプロジェクトを設定して必須項目を抽出しています。また、講師を呼んでのセミナー(講演)も開催しています。 今後の展開としては、SQiP部長の会との交流を深めていくことにも重点を置いて活動していきたいと結ばれました。

次回からは各テーマにわかれ、具体的な討論が開始されます。
本レポートでは、グループごとの活動記録を毎回更新していく予定です。

それでは、次回もお楽しみに!
 




第6期 第3回ソフトウェア品質保証部長の会 レポート
 
 

開催日:2015年1月7日(水)

2015年、最初の会合が開催されました。1月の会合ということもあり、皆さん新年の挨拶をされ、和やかに会話を楽しまれていました。
今回は希望テーマを事前に伺い、4つのセッションを同時並行して実施、各セッションで4つずつのテーマについて検討を行い、計16テーマについて、議論が行われました。

 


グループ討論の様子


【議論の内容】
テーマ1.品質部門の価値

・本来やるべきコアとなる仕事を見つけ、品質を担保する。
・現場に響く形を考え、分析方法、指標を決める。
・品質保証の価値、今の品質を整理する。
・要件定義がきちんとできる手法、どんなことを品質部門がやるのかの共通の指標がほしい。
・非機能の要件定義、品質の見える化。

テーマ2.超上流からの品質保証

・超上流工程をPDCAという観点で再考してはどうか。
・超上流工程でやれることはもっとあるのではないか。
・他社の超上流工程での良い取り組みを深堀したい。

テーマ3.生々しい、火消し、出荷停止事例、失敗事例、品質問題

・各社の生々しい問題や火消しの事例、改善事例などを紹介したい。
・教訓めいたものも必要である。
・なぜ火消しを続けてしまうのかを掘り下げたい。
・某C社では「失敗プロジェクトはない」。それはなぜか。
・失敗から学ばないで、失敗ばかりしている。
・失敗ばかりしている人と成功している人は何が違うのか。

テーマ4.サービス品質

・サービス品質とは何か、定義する必要がある。
⇒商品・システムの企画段階からリリース後(サービス)を意識して計画・製造することの必要性を感じているが、
自社の対応が十分とは言えない点は参加者共通の認識であった。但し、参加した方の業態が多岐にわたって
いることから、サービスという言葉に対して考えること、重要度が異なっている。主な意見は以下のとおりである。

(1)システムインテグレーションからサービスインテグレーションに変わる流れがある。
(従来のソフトウェア開発からITO/BPOなどXaaSを前提としたサービスビジネス)
(2)客先へ提供する商品で、どのような機能を実装すれば喜ばれるかを考える。
(組込み関係は製品の仕様が頻繁に変更になるのが当たり前である。)
(3)商品・システムを早く提供する。顧客によっては品質よりも納期優先の場合がある。
(4)運用開始後の可用性、保守性等


・サービスの定義を明確にし、検討する内容を絞り込む。

テーマ5.ソフトウェア品質保証の肝

・肝の最終成果物を配布可能な書物にする。
・品質保証組織が設立間もない場合や、品質保証部門に初めて配属された場合など、品質保証活動を行う指針や
心構えの一助になる内容にする。また、書物にして知見を継承することで、各場面において
品質保証活動の悩みをゼロから考えなくてもよくなり、品質保証活動の質の向上や効率化を目指す。
・今までの肝を、読み手にわかりやすい構成にする。

テーマ6.システム運用、保守の品質

・サービス品質は範囲が広い。システムリリース後にお客様の価値に合致しているのか。
・システム運用の品質は、「安定」、「止まらない」、「止めても迷惑をかけない」。
・保守の品質は、派生開発の効率を上げると保守性が下がる。

(1)システムが10年、20年ある前提で運用・保守の品質を考えてはどうか。
(2)ソフトウェア品質保証部長は、運用・保守品質をミッションとするか?ということを問いかけてはどうか。
(3)見てないことの問題、見ていたとしたらどうなるか。
(4)組み込み系とエンプラでは違うのではないか。
(5)システムが稼働している99.999%に焦点をあてるのではなく、お客様の立場に立ち、 止まった時の対応を
どうしていくかを考えてはどうか。

テーマ7.欠陥分析

・トラブル報告書が生かされていない。
・不具合分析ができていない。Bug表を書かない。
・欠陥分析の啓発をしたい。

テーマ8.上流工程での品質施策

・再構築プロジェクトの品質を上げるためには、上流工程の品質向上が必須である。
・派生開発も関連があるのではないか。XDDPに取り組んでいて、それなりの効果は出ているが、
それでも抜け漏れがある。
・設計品質を上げる知見を得たい。
・要求定義そのものが上手くいっていない。要求仕様が顧客から出てこないため、業務分析からやらざるを得ない。
・ステークフォルダー毎に価値が変わり、経営者の狙いとエンドユーザーの期待が異なっている。
・品質保証部門の上流工程の関わりが少ない、レビュー技術を上げるための施策を考えてはどうか。
・テスト設計を上流工程でやってほしいが、やれていない。
・何か問題が起きると、超上流、上流に起因するミスが多い。
・社外からくる要求は、超上流での営業の提案からの影響がある。
・必要な機能が揃っているか否かは、作ってからでないとわからない(海外とは異なる)。

テーマ9.アジャイルと品質(SQA的視点、メトリクス等)

・各社ともアジャイルには関心を寄せているが、その取り組み状況はまちまちで、ウォーターフォールのように
明確なプロセスや品質保証を確立するには至っていない。
・アジャイルの品質保証をどのように行っていくべきか。
―ウォーターフォールでの品質保証がそのまま通用しないので、アジャイルならではの品質保証を
生み出さないといけない。
・アジャイルを人材育成に利用できないか。
―1人で何役も行わないといけないので、いろいろスキルを習熟することができる。
・アジャイルを、モチベーション向上に利用できないか。
―お客さんのフィードバックが頻繁になることで、開発者のモチベーションの向上につながる。
・日本発のアジャイルの品質保証の提案ができないか。
―スクラムはもともと日本で行われていたことがベースとなっており、欧米から取り入れるだけではなく、
日本からも発信したい。

テーマ10.アジャイルのプラクティスを活用してプロセス改善を行う

・アジャイルの有効性として、顧客要望がはっきりしないUIの要求や設計に向くのではないか。
・アジャイルが有効でない事例としては、反復的にやってもウォーターフォールと比べ、顧客満足は上がっても
品質や納期は改善しなかった。

テーマ11.定量化、見える化

・開発チーム、経営層、顧客への見せ方を工夫したい。
・品質の見せ方(指標)がない。
・「見える化(どう見せるか)」ではなく、「どう見るか」の観点ではないか。
・「品質コストの改善(低コスト)」
経営層へ見せるという観点では、品質コストへ繋がるのでは。
・「欠陥分析」
欠陥分析結果から品質を測り、見せることができるのではないか。

テーマ12.品質コストの改善

・品質重視でやってきたが、「見合うコスト」、「どうやったらコストを掛けずに済むのか」と、考えられたらよい。
・機能が増えたが、コストは上げられない。
・品質コスト分析をやっていきたいと考えているが、拒否された。
・上を納得させる材料、ロスコスト、コストと品質のバランス、損益分析がある。
・適切な人材を、適切な場所に配置する。

テーマ13.品質意識醸成と品質教育

・なぜ品質意識の醸成やそのための教育が必要なのか。
―具体的に意識が低いと感じた事例を持ち寄り、それらをもとに組織としてはどのような品質意識の醸成が
必要であるかを考える。
・品質意識醸成の具体的な事例を共有する。
―品質意識を高めることを目的として、各社が行っている具体的な教育や活動事例を持ち寄り、整理する。

テーマ14.人材育成

・開発側の品質を高めるための品質保証の人材育成。
・開発メンバに対して、開発プロセスの知見を深めていくための人材育成。
・プロジェクト内で品質保証の立ち位置で開発をリードしていくための習得・習熟性を高めていくための人材育成。
・人事制度との連動による育成・方法の検討。
・強い品質保証とは?そのための人材育成。

テーマ15.欧米比較、オフショア、ベスプラ

・オフショアへの発注時の品質について
―SaaS(欧米)を用いたシステム
―欧米の品質保証と日本の違いを理解して最適化
・オフショアの考え方、今後の日本のあり方を考えたい。

テーマ16. 日本の品質の明日はどうあるべきか

・日本は高品質だと言われているが、必ずしも競争力に結びついていない。
・ソフトウェア品質という観点で日本再生のトリガーとなりたい。 
・今の日本の品質と欧米との違い。
・日本品質の「どこ」に価値があるか、あったか。時間的な視点も考える。
・なぜ、日本の品質は良いのか、何がうまくないのか。
・明日の日本にとって、重要なものは何で、何を変えていくべきなのか。


次回は、1/30(金)、31(土)に開催される合宿のレポートを掲載します。
合宿では、今期活動のテーマを決定し、具体的な議論に入ります。昨年同様、皆さん夜遅くまで熱い議論をされることでしょう。

それでは、次回もお楽しみに!
 




第6期 第1回、第2回ソフトウェア品質保証部長の会 レポート
 
 

開催日:
第1回 キックオフ 2014年11月25日(火)
第2回 2014年12月10日(水)

◆第1回(2014/11/25)

2009年11月から始まった「ソフトウェア品質保証部長の会」(以下SQiP部長の会)も、今期で第6期となります。

ソフトウェア品質シンポジウムや成果発表会でその活動成果を発表していることもあり、活動も広く知れわたり、今期は15名近くの新規参加者を迎え、スタートしました。

 


会場のようす

本会の説明をされる企画委員長の孫福さん

11月25日のキックオフは、第6期メンバーの初顔合わせということもあり、ソフトウェア品質保証部長の会企画委員の江口達夫さんに司会をしていただきながら、簡単な自己紹介後、皆さん和やかな歓談を楽しまれました。

また、第5期から引き続き、ネットワークの強化、経営視点に立った議論、テーマの深掘り、アウトプットに力を入れ、成果を外部発信していくことを確認しました。


最後は、SQiP運営委員会委員長の野中先生の一本締めにより、第1回例会を終了しました。


◆第2回(2014/12/10)

参加者の皆さんにはお互いを知り、第6期の本格的なスタートを切るため、自己紹介スライドを作成いただき、1人2,3分の時間を設け、発表していただきました。

この自己紹介方法は昨年から実施しており、皆さんそれぞれの関心事をお聴きになりながら、課題などを共有されました。

この自己紹介は、今期取り組みたいテーマの提案も兼ねており、「アジャイルと品質」「システム運用、保守の品質」「経営視点」など、計29テーマが挙げられました。この中から4~5つのテーマを選出し、これから1年間討論していく予定です。


自己紹介風景

第3回は年明け1月7日に開催し、テーマ別グループ編成に向けての検討を行います。
次回もお楽しみに!

 


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