~ソフトウェア品質の向上とそこに関わるすべての方へ~ Software Quality Profession

4.トピックス

「ソフトウェア品質技術者資格試験(JCSQE)」を受けてみよう!

日本電気㈱ コンピュータソフトウェア事業本部 統括マネージャー
上席ソフトウェアプロセス&品質プロフェッショナル
誉田 直美

 「ソフトウェア品質技術者資格認定制度(JUSE Certified Software Quality Engineer)」をご存知でしょうか。2008年12月に始まったばかりの新しい資格認定制度です。既に2回の資格試験を実施していますが、2回とも定員を大幅に上回る受験申し込みがあり、反響の大きさに驚いています。本稿では、この「ソフトウェア品質技術者資格認定制度」についてご紹介します。

(1) 背景 ~すべてのソフトウェア技術者に品質技術を~

 品質の良いソフトウェアを開発するには、技術が必要です。その技術をソフトウェア品質技術と呼びます。ソフトウェア品質技術は、ソフトウェア開発に関わるすべての人々が修得する必要があります。品質は、一部の人だけががんばれば良くなるものではなく、そのソフトウェア開発に関わるすべての人が協力して作り込むものだからです。
ソフトウェアは、今や社会インフラ基盤を構築する重要な存在であり、ソフトウェアに起因する品質事故は、社会問題を引き起こします。ソフトウェアの品質確保は、ソフトウェア産業に従事する人々にとって、社会的責任とも言える重要な要件となってきました。
SQiPソフトウェア品質委員会は、こうした現状認識のもと、ソフトウェア品質技術の効果的な修得を目指して、「ソフトウェア品質技術者資格認定制度」を開始しました。この資格は、初級・中級・上級の3段階で構成しており、現在は初級の資格試験を実施しています。

(2) 初級資格試験の概要

  • 複数の選択肢から正解を選ぶタイプの問題で構成され、40問の出題です。
  • 試験時間は1時間です。
  • 毎年5月と11月に定期的に実施されます。
  • 合格ラインは70%前後です。
  • シラバスに準拠して出題されます。シラバスには、学習目標、学習対象となる用語・概念、知識レベルを設けています。知識レベルについては、図1を参照してください。
  • 初級は、知識レベルL1~L3の範囲で出題されます。概念レベルの知識はL1を、現場で頻繁に使われる技術はL3を要求するというように、現場で実際に使うことを考慮した出題範囲となっています。
  • 試験対象とする方は、品質保証エンジニアはもちろん、開発者やテスト技術者、プロジェクトリーダやマネージャ、保守運用技術者、教育担当者、そして経営者といった全ての方々です。
  • 初級資格は、ソフトウェア開発プロジェクトの各タスク(レビュー、テスト、品質分析など)が十分に遂行可能なレベルを想定しています。
  • 主参考図書、副参考図書の推奨をしています。主参考図書はソフトウェア品質知識体系であるSQuBOKガイド、副参考図書はソフトウェア品質技術を現場で使いこなすための実践的なガイドである「ソフトウェア品質保証入門 -高品質を実現する考え方とマネジメントの要点」です。
主参考図書

 SQuBOK®ガイド -SQuBOK® Guide-
著者 SQuBOK®策定部会 編
出版社名 株式会社オーム社 (ISBN 978-4-274-50162-3) 発行年月 2007年11月

副参考図書

 ソフトウェア品質保証入門 ―高品質を実現する考え方とマネジメントの要点
著者 保田勝通/著 奈良隆正/著
出版社名 日科技連出版社 (ISBN:978-4-8171-9263-9) 発行年月 2008年04月

図1 知識レベル

レベル 補足説明
レベルL1(知っている) 概念や用語を知っており,その概要を述べることができる.
レベルL2(知識を説明できる) 概念や用語の意味や背景を理解しており,具体的な例を挙げて説明することができる.
レベルL3(概念と使い方がわかる) 概念や技術の使い方がわかっており,それらを適切に選択して,限られた条件の下で与えられた課題を解決できる.
レベルL4(詳しく理解し応用できる) 概念や技術を詳しく理解しており,実用的な問題を解決するために,その知識を応用できる.
レベルL5(熟達している) 実社会の複雑な問題に対して,構造を明らかにして要素に分解するとともに、解決に必要な検討を加えて結論を導くことができる.

(3) 実施状況

 初級資格試験は、今まで2回実施しています。受験者数は合計533名、合格者は合計219名です。試験会場は、1回目は東京地区のみでしたが、2回目は東京および大阪での2地区開催でした。今後も、名古屋、九州など試験会場の拡大を計画しています。
受験者層を分析してみますと、品質保証エンジニアが約62%と最も多いですが、開発者、営業なども約34%を占め、広くソフトウェア開発に関わる方が受験していることがわかります。年齢層では、40歳代が最も多く、20歳代から50歳代まで広がっています。ソフトウェア品質技術者資格を、社内資格に取り込んだ会社も出始めました。

(4) 今後の展開

 中級の資格試験は、2010年10月に第1回実施を計画しており、以降年1回の定期試験を予定しています。具体的な中級資格試験の内容は、第28回SQiPシンポジウム2009(9/9-9/11開催)にて説明します。中級資格試験は、ソフトウェア開発プロジェクトを品質面で成功に導くことができるレベルを想定しています。
また、初級レベルの技術修得を狙ったソフトウェア品質技術者 初級セミナー(2日間コース)を今年10/22-10/23に第一回開催予定です。初級セミナーは、現場でソフトウェア品質技術を使いこなせるようになることを狙った実践的なセミナーです。演習を多く取り込み、現場感溢れるセミナーを目指しています。知識修得もさることながら、実際にソフトウェア品質技術を使って成果を出せるようになりたい方にはお勧めのセミナーです。その修得結果を試す初級資格試験は、次回11/28開催を予定しています。詳細のお問い合わせは、下記までお願いします。

 

財団法人日本科学技術連盟 教育推進部 第三課 JCSQE資格試験担当
TEL:03-5378-9813/FAX:03-5378-9842/E-mail:sqip@juse.or.jp

プロフィール
誉田 直美(ほんだ なおみ)
日本電気(株) コンピュータソフトウェア事業本部 統括マネージャー
上席ソフトウェアプロセス&品質プロフェッショナル
日科技連SQiPソフトウェア品質委員会 副委員長
専門・研究分野、関心のある分野:ソフトウェア品質
サーバ/メインフレーム/ストレージ等の基本ソフト/ミドルソフトウェアの品質保証およびCS向上に従事。2007年より現職。
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