悩みがあるなら、SQiPシンポジウムへ行こう
NECネクサソリューションズ株式会社
小池 輝明
ソフトウェア品質シンポジウムは、今年で27回目を迎えます。昨年からSQiPシンポジウムの呼称がついて少しは親しみやすくなったのではないでしょうか。とは言え、「ソフトウェア品質」のシンポジウムというとまだまだ固いイメージがあるかもしれません。少しソフトウェア品質をかじったくらいの人では参加を見合わせてしまうのではないかと思います。
しかし、今年のSQiPは違います。
今年の構成は、シンポジウムを構成するセッションの全てから、クロージングパネルの「The Bridge over Trouble Water」にメッセージが向けられていることを非常に強く意識した構成になっています。クロージングパネルのテーマ「The Bridge over Trouble Water」は、サイモン&ガーファンクルの有名な一曲からヒントを得て、大場先生が命名されました。あえて「The」をつけたり、「Trouble」と過去形から変更することでより深い意味が込められています。それはシンポジウムの位置付けを「参加者の悩みを解決する手助け」にしたいという想いがあるからです。
ソフトウェア開発に携わる人は悩んでいます。それは当たり前です。悩みのない技術者はいないでしょう。しかし、同じ悩みを抱えている人は多く、その悩みを集約することで、先人たちの知恵に触れたり、同輩たちの努力に感動したり、そういう場にすることでまさにシンポジウムは価値が出てくるのではないかと思います。
基調講演、特別講演はまさに「先人の知恵」です。基調講演のTomGilb氏、特別講演の久米教授からは、悩みの解決に向けたエールがちりばめられています。ソフトウェアを取り巻く環境が違っても、ソフトウェアの「悩みの共通項」は存在し、そこに気付くことで今日のソフトウェア開発に活かせる知恵を初めて拝受できます。
企画セッションの中で、設計品質、人材育成、プロセス改善、ソフトウェアテスト/品質保証、という切り口の構成があります。この4つのテーマはソフトウェア開発では外すことのできない重要なテーマであることは言うに及びませんが、これらのセッションは出来るだけインタラクティブな構成にしています。講演を聞くだけでは、悩みの共通項を見つけることがなかなかできません。やはり参加者の声が一つでも多く発せられることで、悩みに共感し、解決へのエネルギーに繋がるのではないかと思います。そして、共感された悩みを多く持ち寄って欲しいのが、SIG (special interest group) です。SIGでは、企画セッションの中で言い尽くせなかった参加者の受け皿として用意しています。なので存分に悩みを明かしていただきたいと思います。悩みは外に出すことで必ず解決の糸口がみつかる筈です。
一般発表セッション(経験論文、経験発表)は、「悩みの具現化」であると言えましょう。悩んで苦しんだ取り組みの振り返りが、一つ一つの発表ににじみ出ていることを感じることができるはずです。各現場での取り組みは、小さな努力と工夫を継続した結果、組織の力として結実します。
2日目も濃縮されたセッションが続きます。派生開発、SQuBOK、定量的管理、と時代にマッチしたセッションが用意されています。各セッションはテーマ毎のオーソリティが、参加者の目線で議論を展開します。現代的なテーマに興味のある方はどれも外せないセッションばかりです。
1日目と2日目にそれぞれ行われるチュートリアルは、悩みを解決するための体力作りです。悩みを解決するには、体力が必要です。体力作りは実際に体を動かすことが基本です。チュートリアルでは大きな会場を用意いたしましたが、場合によっては入場制限が発生するほど人気の高いセッションです。
そして、最後にクロージングパネルです。2日間ここまで参加していると、心地よい疲れと、悩みの共通項の発見で明日からの活力が沸いてくるでしょう。
大場先生のリードで濃密な議論になることは必至で、参加者は「悩み」(Trouble Water)を乗り越える(over)勇気(The Bridge)を手に入れることができるはずです。
SQiPシンポジウムは、ソフトウェア品質の大家が講演するだけの場ではないことをご理解いただけましたでしょうか。
若い世代の方たち、悩みに臆することはありません。
中堅世代の方たち、若い世代と先人たちの架け橋になりましょう。
先人の方々、悩む世代を励ましていただきたい
さぁ、悩みを持ち寄り、SQiPシンポジウムへ行こう!