「SQuBOKの利用法:参照スタイルから進化スタイルへの提案(その1)」
株式会社NTTデータMSE
ソリューションサービス事業部
コンサルティンググループ 堀 明広
【SQuBOKで整理しやすくなった】
SQuBOKは、よく設計された書籍だと思います。
SQuBOKの目次と言うべき「樹形図」により、ソフトウェア品質に関する知見が、体系的に、読みやすく、検索しやすく整理されていると思います。
私にとって、SQuBOKは辞書的な位置づけにもあります。
SQuBOKはその他にも、自分が今までどんなことをしてきて、まだ何が分かっていないのかを整理し、これから先は何に取り組むべきなのかを考える、”道しるべ”のような存在でいます。そういった意味で、まさに「ソフトウェア品質知識体系ガイド」というネーミングは言い得て妙であると思います。
特にソフトウェア品質技術者は、SQuBOKの隅から隅まで一通り目を通し、何処に何が書かれているかは、ちゃんと把握しておきましょう。 何か必要が生じた時には直ぐにSQuBOKで調べられるよう、備えになります。
【SQuBOKだけでは何にもならない】
SQuBOKはソフトウェア品質に関するエッセンスが書かれたものであり、ソフトウェア品質に関する知見へのガイドです。 当該項目に関する書籍や論文、規格などが丁寧に整理されています。
SQuBOKで紹介されているこれらのエッセンスをくみ取り、更に咀嚼するためには、SQuBOKで紹介されている文献等に当たる必要があるのです。
そういった意味で、SQuBOKは「ソフトウェア品質知識体系ガイド」と銘打たれてはいますが、この本を読み進めば、どこかに自動的に連れて行ってくれる類のガイドではありません。
これらの情報を使って、自分の仕事にどう活かすことが出来るか、それは読み手にかかっているのです。何でもそうですが、目的意識をちゃんと持っていなければ、道具は使いこなせないものです。
【ソフトウェア品質に関する知見は、常に進化している】
ソフトウェア品質に関する知見は、常に進化してきています。
世にある様々な研究発表会、シンポジウム等では、新たな創意工夫、実践事例が送り出され、共有されています。 新しい文献も、多々出版されてきています。 internet上では、SNSやML、BLOG等で、活発に意見交換されています。
SQuBOKにまとめられている内容は、日常的に拡大・進化してきているのです。
【SQuBOKユーザー会でやっていきたいこと】
SQuBOKには、今まで先人が切り開いてきた知見が体系的にまとめられています。
SQuBOKユーザー会を発足させた時には、これら知見を蓄えたSQuBOKの活用の仕方を共有する、ということを目指していました。
つまり、今までのSQuBOKユーザー会は、色々な知見が書かれているSQuBOKをどう利用するか、という観点で捉えていました。
上述しているように、ソフトウェア品質に関する知見、事例は常に進化しています。
これを、SQuBOKユーザー会で積極的に扱っていきたいと考えています。
新たに出された知見を整理し、体系付けるのに、SQuBOKを軸として利用する。
勉強会等で出された意見等を、その場限りでなく、一個の体系に記録し、蓄えていく。
それらを使って、更に議論を深めていき、新たな知見を産み出していく。
これから提案したいのは、今までと目線を変えて、SQuBOKという体系を利用して、その内容を如何に充実させていくか、その充実化させる過程で議論をしていこうよ、というものです。
これらを行うには、internet上で何らかのインフラが必要と考えています。
どんなインフラか、その運用方法はどうか。 これらをSQuBOKユーザー会で議論していきたいと思っています。
次回の記事では、これらの活動結果がどうなったか、報告したいと思います。
以上