USDMとDRBFMを羅針盤にして派生開発を成功に導く
NECソフト株式会社
酒井 賢
7. まとめ
変更要求仕様書と心配点シートを使った開発のイメージを図にしてみました。(図5)
図 5 変更要求仕様書と心配点シートを中心とした開発のイメージ
変更要求仕様書は、プロジェクトの羅針盤のようなものだと考えています。
ウォーターフォール開発のサイクルでは、それぞれの工程の成果物は、前工程の成果を受け継ぎながら進んでいきます。進むにあたって、変更要求仕様書という羅針盤を常に確認し、「その成果物には変更が反映されているのか」を必ずチェックし、心配点シートで「心配していたことが顕在化していないか、さらに心配すべきことはないか」を検討しつづけます。
航海に例えるなら、今までの航路とこれから進もうとする航路が正しいのかを羅針盤で確認し、行く手に危険が待ち受けていないかを推測する作業を怠らないということです。
変更要求仕様書と心配点シートを中心に据えて開発サイクルを回すことで、いつ難破してもおかしくない派生開発という困難を、正しいゴールに向かって安全にかつ穏やかに進めることができます。
プロジェクト管理システムやツールはたくさんありますが、品質を確保する最後の砦は、コミュニケーション、チームワーク、経験、助け合いなど、「人」が主役だと思います。
変更要求仕様書と心配点シートを導入してからの約3年の間に14ファイルができました。つまり、14回の派生開発を繰り返したことになります。
変更が入るたびに何度も書き直され、全員でレビューしたファイルは知識が凝縮されたプロジェクトの宝でありチームの誇りです。