勉強会のつくりかた
株式会社ACCESS フロントエンド事業部
主任 松木 晋祐
このたび「人材育成」というテーマで寄稿の機会を頂きました。私も前回の誉田さんの仰るとおり「人材」は「自らに拠って育つ」ものと考えています。その具体的かつ王道たる手段として「勉強会」があります。
「勉強会」という言葉にみなさんはどんなイメージを持たれるでしょうか?
社内で催される公式/非公式の有志勉強会、社外の技術コミュニティで企画される、そのコミュニティの趣旨に沿ったカジュアルな勉強会、教育事業者が企画/開発する技術セミナー、赤坂の料亭で催されるという代議士先生らによる政策研究会、などなど。みなさんの背景や所属されている業務ドメインによってそのイメージは異なると思いますが、全てに共通するプレーヤーは「主催者」と「講師」と「参加者」です。今回はこのうち「主催者」と「講師」としての立場から、実際に開催した「勉強会」を通して学んだ "技術以外の部分" をお伝え出来ればと思います。
「勉強会」を主催する人は何を動機にしているのでしょう。「参加者」として何度も足を運んだ身からしても、日程調整、会場確保、当日の運営、質の担保、場合によっては懇親会の段取り、などなど大変な労苦が想像されます。そんな催しを実行に移す「主催者」の動機として挙げられるのはおそらく、下記のようなものではないでしょうか。
(1)ある技術に心の底から入れ込んでいて、ひとりでも多くの方に知ってほしい
(2)偉大な先駆者や身近な先輩に触発されて、伝える側に回ってみようと思った
(3)ひとりで勉強するのは続かないので、みんなを巻き込んで進めようと考えた
(4)自分がわかる技術を教えて、みんなに喜んでもらえるのが純粋に嬉しいから
私もつい先日「上層テスト技術者に贈るAndroid開発入門講座」という勉強会を企画し、同時に講師を務めさせていただきました。動機としては (3) に近かったと思います。(参考 http://atnd.org/events/13289)
Android は2011年春現在、もっとも勢いのあるモバイルプラットフォームで、国内の主要キャリアから搭載機種が続々と発売されています。しばらくこの勢いは止まりそうになく、普及に従って、エンタープライズのフィールドにおいてもプラットフォームに Android が採用される事例が増えています。そんな中、業務で必要になりそうという状況もあったのですが、そもそも小さいコンピュータが好き、何かその上で動くモノを作るのが好き、という趣味が半分。勉強会の主題にもあるとおり、上層テスト技術者にも現場で妥当なテスト設計を考える上で、いまどきのモバイルプラットフォームのソフトウェアがどのように動作しているのか、アプリケーション開発者に近いレベルで理解しておいて欲しいという、ここ数年の個人的な思いが半分で、まずもって自分が学ぶ必要に迫られ本企画の開催へ思い至りました。