SQuBOKガイドの改訂に向けた活動について
(株)NTTデータ 技術開発本部
プロジェクトマネジメント・イノベーションセンタ
町田 欣史
新たなトピックスの追加
SQuBOK®ガイドに記載されている技術や考え方は、業界での認知度もあり、ある程度成熟しているものが基本となっています。ただし、中にはやや新しめのキーワードをあえて載せているものもあります。たとえば「ディペンダビリティ」などはそれにあたるかもしれません。これは、SQuBOK®策定部会として、ソフトウェア品質技術者や開発者の皆さんに知っておいていただきたいという思いが入っているものです。そういった一部の例外を除けば、目新しい技術などが世の中で一時的に流行しても、まだ技術として確立していないもの、現場に根付いていないものは掲載を見送ることがあります。
たとえばSQuBOK®ガイドの第1版にはトピックスとして「Vモデル」はありますが、「Wモデル」はありません。これは、第1版の執筆当時は「Wモデル」は認知度が徐々に高まりつつあるぐらいの段階であり、まだ開発現場では一般的でないという理由から、時期尚早ということで掲載を見送りました。しかし、この3年の間に「Wモデル」は(適用している、していないは別にして)かなり認知度が高まり、多くの文献にも当たり前のように記述されるようになったと感じています。従って、次版では「Wモデル」を新たなトピックスとして追加することが検討されています。このように、日々新しくなるソフトウェア開発の技術を取り込むことで、SQuBOK®ガイドの鮮度を保っていこうとしています。
規格の最新化
SQuBOK®ガイドでは、付録としてISO、IECやIEEEなどの規格の一覧を掲載しています。それらの規格はトピックスとして解説されていたり、他のトピックスで参照されたりしています。国際標準や業界標準の規格に基づいていることは、SQuBOK®ガイドの記載内容の信頼性を高める一つの要因になっています。しかし、これらの規格は頻繁に改訂されたり、JIS化されたりしています。SQuBOK®ガイドの信頼性を確保するためには、これらの規格は最新のものを参照し、それに基づいた記述に改める必要があります。これも次版での改訂のポイントの一つです。
たとえば、テストドキュメントに関する規格であるIEEE Std 829は、SQuBOK®ガイド第1版では1998年版を参照していましたが、この規格は2008年に改訂されました。そこで、2008年に公開したSQuBOK®ガイドのアメンドメントでは、付録の規格一覧を更新し、さらにこの規格を解説、参照しているトピックスの解説文への影響を確認しました(影響はないということで解説文の変更はありませんでした)。今回のSQuBOK®ガイドの改訂にあたっても、改訂のあった規格を確認し、関連する解説文の見直しをする予定です。
終わりに
今回取り上げた以外にも、SQuBOK®ガイド全体を通しての不整合の修正や、第1版で取りこぼしていた情報の追加、読者や有識者からの要望やコメントの反映などを行って、より充実したガイドに改訂する予定です。
改訂版の出版は来年2011年の1月頃を予定しております。是非お楽しみにしていてください。
※iPhone、iPad はApple Inc.の商標です。その他本文中の製品名は各社及び商標権者の登録商標あるいは商標です。