SQiP30周年記念行事を振り返って
30周年記念行事委員会委員長
大野 晋
はじめに
SQiP(Software Quality Profession)は、コンピュータのソフトウェアの品質問題を扱うために、SPC委員会として産声を上げてから今年で30年になります。このため、ささやかながら、30周年を喜ぶとともに今後の未来を考えるべく、30周年記念事業を行いました。
そこで、この30周年記念事業についてご紹介いたします。
事業内容
30周年記念事業として、次の4事業を行いました。
(1)30周年記念誌の作成
(2)30周年記念パネルディスカッションの開催
(3)シンポジウムでの30周年記念トラックでの講演
(4)30周年記念祝賀会の開催
30周年を記念して、過去のSPCならびにSQiP関連の記事や論文を収集採録するとともに、今までの歴史を踏まえたうえで未来の活動についてビジョンを示すことを目的に30周年記念誌を編纂しました。記念誌にご執筆いただいた多くの方々には感謝いたします。
特に、過去の記事や論文を棚卸し、ソフトウェア品質管理の歴史について年表にまとめる作業から、今までの諸先輩方の研究や業績について改めて見返す機会を持ち、私たちの今の諸活動のもとにある地道な積み重ねにあることを再認識しました。また、20周年記念CDに収録されていた10年分のソフト
ウェアの生産・品質問題に関する技術の年表をアップデートしました。ぜひ、技術を俯瞰する用途にご利用ください。
30周年記念誌は祝賀会の席上ではCDで配布しましたが、近日中に日本科学技術連盟のWebページからPDF等の形式でダウンロード可能になる予定です。
パネルディスカッションと記念トラックは、SQiPシンポジウム(ソフトウェア品質シンポジウム2010)のプログラムとして開催しました。パネルディスカッションでは、誉田 直美さん(日本電気、SQiP副委員長)の司会のもと、学術的な立場から飯塚 悦功さん(東京大学、SQiP委員長)、プロフェッションとしての立場から名取 良弘医師 (飯塚病院)、専門技術者の立場から榊原 彰さん(日本アイ・ビー・エム)といった3名に、SQiPという名称にも使われているプロフェッション(Profession)という単語についてフォーカスし、西欧社会では聖職者・弁護士・医師しか使えないと言われるこの単語をソフトウェア品質にかかわる技術者も当てはまるようにするためには、という命題をもとに有意義な討論をしていただきました。きっと、参加された皆さんにも、専門家倫理のような意識が芽生えたものと思います。
写真1.30周年記念パネルディスカッションの風景
また、同じくシンポジウムで、「ソフトウェア品質を大いに語る」と題して、ソフトウェアの品質問題に関して一家言を持つ板倉 稔さん(ビズモ)、金子 龍三さん(プロセスネットワーク)、大場 充さん(広島市立大学)の3名による講演会を開催しました。きっと参加された皆さんは、新しい視点を得られたものと考えております。
写真2.シンポジウムでの30周年記念トラック「ソフトウェア品質を大いに語る」での講演
最後に、シンポジウムの最終日に、会場の東洋大学において、30周年記念祝賀会を開催し、初代委員長である菅野文友先生はじめ、多くの関係者に参加いただき、盛大に行われました。会場を提供いただきました東洋大学に感謝いたします。また、集まられた関係者諸氏とともに、ぜひ、40周年、50周年と祝えるように、今後とも活動を表裏ともどもご支援くださいますようにお願いいたします。
私たちの現在には、必ず過去の苦労の歴史があります。その認識を新たにした30周年記念行事でした。
写真3.30周年記念祝賀会の風景