~ソフトウェア品質の向上とそこに関わるすべての方へ~ Software Quality Profession

4.トピックス(1)

すべてのソフトウェア開発者におくる:ソフトウェア品質シンポジウム2010

(株)インテック 技術部
藤井 彩乃

はじめに

 ソフトウェア品質シンポジウム(SQiPシンポジウム)2010は、2010年8月23日(水)~25日(金)に、東洋大学(東京・白山)でSQiP設立30周年を記念するイベントとして開催されました。

 SQiPシンポジウムは、日本で最大級のソフトウェア品質に関する会議です。ソフトウェア開発に関わるさまざまな方々が一堂に会し、各所で実践されてきた現場で役立つ技術や経験、ノウハウ、研究成果を発表し意見交換を行う場です。このシンポジウムを通してソフトウェア開発に関わる全ての開発者のみなさんに、日々のさまざまな問題を解決するための“最初の1歩”を提供したい、参加者のみなさんそれぞれに「何か」を持ち帰っていただきたい、そんな思いを企画に込めました。今年度からシンポジウム委員として初めて参加した私が、SQiPシンポジウム2010を振り返ってみたいと思います。

併設チュートリアル

 シンポジウムの1日目、13時~17時に開催される半日集中講座です。シンポジウム本会議とは切り離して、気軽に一流講師の講座に参加できる機会です。基本の本質を学び、見つめなおす場として今年度は下記の6テーマで開催しました。今年度は、昨年度を大きく上回る170人の方が受講しました。

1. 「XDDPでビジネスに勝つ」 :清水吉男氏(システムクリエイツ)
2. 「体験!テスト技法:点,線,面,立体,四次元の観点で」:秋山浩一氏(富士ゼロックスアドバンストテクノロジー)
3. 「ソフトウェア品質データ分析の作法:知識を発掘し、施策に活かす」:野中誠氏(東洋大学)
4. 「演習で学ぶソフトウェアメトリクス」 :鷲崎弘宣氏(早稲田大学)
5. 「実践!プロダクトライン開発」 :島敏博氏(セイコーエプソン)
6. 「実践!チームの生産性を高めるアジャイル開発プロセス」:三井伸行氏(戦略スタッフサービス)

 私自身は、野中先生のソフトウェア品質データの分析の作法に参加しました。取得したデータの統計手法を使った品質データの分析の説明を必死に聞いていたら、同じ問題を大学生に解かせたと言われ若干ショックを受けました。と同時に、同時に羨ましいと思いました。取得したデータをどのように分析していくかは、きっと基本的なことなのだと思います。普段業務では、部分的な知識で適用することを中心に考えていましたが、これを機会に基本を振り返ることができたように思います。

基調講演

 三菱東京UFJ銀行のDAY2プロジェクトを率いた、同行の常務取締役根本氏の講演でした。大規模プロジェクトの成功の裏にある各種の取組みについて「システム統合にみるプロジェクト運営~現場責任者として心がけたこと~」と題してご紹介いただきました。あれほどの大規模であるにも関わらず、PMBOKの技術領域に基づいて緻密に計画・実施されていることに驚きました。リスクの洗い出しをはじめとする徹底した「計画」や、本番移行の前に「先行体験」してから本番に臨む取組みは興味深かったです。開発のマネジメントだけでなく、プロジェクトメンバのモチベーションを高める取組み、定期的に変わるスローガンを記載したデスクトップ壁紙を配布したり、プロジェクトのノベルティ(!)を作ったりする工夫もされていたそうです。またこんなプロジェクトに参加したい!とメンバに思ってもらえるプロジェクトだったのだろうと容易に想像がつきました。大きなプロジェクトだったとしても、プロジェクトマネジメントやチームビルディングといった取組みを地道に実施していくことが大事だということがよくわかりました。
 詳しくは、下記記事や講演資料に掲載されていますのでぜひ見てみてください。
記事:http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1008/11/news005.html
講演資料:http://www.juse.or.jp/software/200/attachs/file001.pdf

一般発表

 今年は、30件の発表がありました。この不況の折、どのくらいの論文応募をいただけるのかドキドキしていましたが、本当にたくさんの応募をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。来年のSQiPシンポジウムもぜひ、よろしくお願いします。また、昨年度のSQiPシンポジウムFuture Awardを受賞されたキャノンITソリューションズの大友さんと、SQuBOK策定部会のみなさんをお招きし、招待講演も行いました。とても全部はご紹介できませんが、発表資料は下記Webに掲載していますので、ぜひ、ご覧になってみてください。
講演資料:http://www.juse.or.jp/software/200/

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