~ソフトウェア品質の向上とそこに関わるすべての方へ~ Software Quality Profession

SQuBOKガイドの改訂に向けた活動について

(株)NTTデータ 技術開発本部
プロジェクトマネジメント・イノベーションセンタ
町田 欣史

■書籍を読んでみよう

書籍は一般の方が最も入手しやすい文献でしょう。大型書店のコンピュータ書籍コーナーに行けば、ソフトウェア開発関連の多くの書籍(和書)が陳列されています。SQuBOKガイドの第1版が出版されてから約3年が経ちましたが、その間にも数多くの書籍が新たに出版されました。改訂中のSQuBOKガイドでは、新しい書籍を関連・参考文献に追加する際には、複数のSQuBOK策定部会メンバが読んだ上で、追加の可否を判断しています。従って、単に情報が新しくなったというだけではなく、読者の方にとって有益な書籍のみが掲載されます。

また、SQuBOKガイドに記載されている書籍の中には、絶版本や洋書など、入手が難しいものもあります。洋書はちょっと頑張ればオンライン書店などで手に入りますが、絶版本は古書店などでないと入手は難しいかもしれません。そのようなときは、図書館を利用するのもお勧めです。絶版になるような古い本にこそ、技術の真髄が書かれていることもありますので、より深い知識を得たい方は諦めずに探してみてください。

■論文を読んでみよう

いわゆる学術論文は、研究をしている方でないとあまり接する機会はないかもしれませんが、最新の技術を知る、あるいは現在の技術のルーツを知る上では非常に有用な情報源です。

SQuBOKガイドの付録Dには、ソフトウェア品質に関係が深い論文として、以下の3つのシンポジウム、ジャーナルの表彰論文を掲載しています。

  • ソフトウェア品質シンポジウム(日本科学技術連盟)
  • 世界ソフトウェア品質会議(European Organization for Quality, American Society for Quality, 日本科学技術連盟)
  • ジャーナル「品質」(品質管理学会)

これらの表彰論文は、発表、掲載された論文の中でも特に優れたものということで、代表として掲載していますが、実際には表彰論文以外にも多くの論文があります。また、上記以外にも、ソフトウェア開発やソフトウェア品質に関する論文は、情報処理学会や電子情報通信学会、IEEEなどにも多く投稿されています。これらの学会の論文は、学会に入会すれば(会員種別にもよりますが)、無料で入手できる場合が多いです 。また、入会しない場合でも、有料になりますが、論文を購入することもできます。

論文には、最後に必ず参考文献が掲載されています。論文は、ページ数が限られているために、参考文献で述べられていることは既知の事実として、根拠や詳細などは省略していることも多くあります。そのため、より正しい理解のためには、参考文献をさかのぼって見ていくことが必要になりますし、その中で新たな気づきが生まれることもあります。この参考文献の活用は書籍でも同様ですので、ぜひお試しください。

■規格を読んでみよう

ISOやJISなどの規格は、名称は聞いたことはあっても、実際に現物を見たことがあるという方は少ないかもしれません。組織の品質保証部門などの方であれば、国際規格標準や業界標準に準拠するために参照することはあると思いますが、通常の開発に携わっている方にはなじみがないかもしれません。

例えば、ご自身の会社における開発標準があるとします。それが国際規格に準拠しているものとして提供されているのであれば、その開発標準を作った方は、国際規格を読んで、それを会社の特性に合わせて標準化したのだと思います。この場合、開発標準を見た方は、間接的に国際規格を参照していることになります。

しかし、国際規格に準拠しているとは言っても、加工されてしまったものを見ているわけです。好奇心の旺盛な方であれば、オリジナルの定義を知りたいと思うことでしょう。

ただ、この規格は非常に高額なので、個人で購入するのは難しいかもしれません。業務で必要ならば、その必要性を訴え、会社の予算を工面して購入を検討していただきたいのですが、それが無理であれば、国立国会図書館などで閲覧することもできます。いずれにせよ、ご興味のある方は、規格とは実際どんなものなのか、一度ご覧になることをお勧めします。

■さいごに

今回は、改訂の話から少しはずれて、SQuBOKガイドを元に、ソフトウェア品質に関する理解をより深めるためのテクニックについて紹介しました。 今回紹介した書籍、論文、規格といったものは、どんどんと更新、追加されています。新たなSQuBOKガイドでは、それらの最新情報を取り込んでブラッシュアップするのと同時に、「温故知新」の言葉通り、古典的でかつ現在の技術の基礎となる情報も大切にしながら改訂を進めています。

※2011年10月31日~11月4日に第5回世界ソフトウェア品質会議(5WCSQ)が上海で開催されます。
ソフトウェア品質シンポジウムの発表論文は、日本科学技術連盟のWebサイトで公開されています。 http://www.juse.or.jp/software/29/

プロフィール

町田 欣史(まちだ よしのぶ)
(株)NTTデータ 技術開発本部 プロジェクトマネジメント・イノベーションセンタ
JSTQBテスト技術者資格認定 技術委員会
社内にてテストプロセス改善の研究、テスト自動化支援ツールの開発・導入支援、ソフトウェア品質向上のための社内サービス運用を行っています。

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