SQuBOKガイドの改訂に向けた活動について(参考文献の活用方法)
(株)NTTデータ 技術開発本部
プロジェクトマネジメント・イノベーションセンタ
町田 欣史
■はじめに
SQuBOKガイドには、ソフトウェア品質に関する非常に多くの情報が盛り込まれていますが、皆さんは、これらの情報をどのようにお使いでしょうか。今回は、SQuBOKガイドの使い方について、再度考えてみることにしましょう。
SQuBOKは、その名の通り、ソフトウェア品質に関する知識を体系化したものです。その体系を表したものが、SQuBOKガイドの序章にもある樹形図です。数多くあるソフトウェア開発の技術要素の中から、ソフトウェア品質に関連するものを選び出し、それらを分類、体系化したものをツリー状に表現しています。
この樹形図は、SQuBOK(ガイド)のオリジナルですが、樹形図以外の内容は、基本的には他の文献から知ることができる情報がほとんどです。こう書いてしまうと、SQuBOKガイドの価値が下がってしまうような気がするかもしれませんが、そんなことはありません。SQuBOKの目的の一つは「ソフトウェア品質に関する日本の暗黙知を形式知化する」ということです(ソフトウェア品質知識体系ガイド-SQuBOK Guide- viiページ参照)。つまり、この「体系化したこと」と「他の文献の情報を集約したこと」こそが、SQuBOKガイドの大きな価値なのです。
■SQuBOKガイドから知識を広げる
SQuBOKガイドを読めば、ソフトウェア品質に関することが“ある程度は”理解できますが、さらに専門的な知識を得るためには、それだけでは足りません。SQuBOKガイドを入口として、さらに知識を広げていくことが必要になります。
身近な例で考えてみましょう。例えば、先ごろ行われたサッカーのアジア杯で日本代表が優勝したことでサッカーに興味を持った方が、より深くサッカーを知ろうと思ったら、どのようなことができるでしょう。
- ルールや戦術を知る(なぜ4-2-3-1のフォーメーションにしたの?)
- 過去の歴史を知る(過去のアジア杯の激闘、アジア杯の開催地ドーハの悲劇、など)
- 代表選手が所属するクラブチームを知る(あの選手はどのチーム?活躍してる?)
これをSQuBOKガイドに置き換えてみると(やや強引ですが)以下のようになります。
- 各知識領域やトピックスの定義、理論などを知る。
→基本的な考え方を知って、応用に活かす。 - 各知識領域やトピックスのルーツを知る。
→現在の技術が確立するまでの裏付けを知る。 - 各知識領域やトピックスの活用事例を知る。
→本当に有効な技術かどうかを確認する。
それでは、文献を「書籍」「論文」「規格」の3つに分けて、それぞれの入手方法や特徴などについて見ていきましょう。