ソフトウェア開発における知の整理・体系化と伝承
―JSQCソフトウェア部会「遺言」プロジェクト―
(社)日本品質管理学会ソフトウェア部会前部会長
兼子 毅
6.宣伝を兼ねて
今回部会でまとめた「形式知集」は、3MB程度のエクセル形式のファイルに仕上げた。目次からリンクをたどって、具体的な「事例」にたどり着くことができる。それぞれの「事例」には「小説」をつけた。イメージとしては、4コマ漫画の原作のようなもので、読者にとって「自分の身の回りでしばしば起きている出来事」のような印象を与えることを意図している。少し前に書いたように、ソフトウェア産業の人々は、黒船のご威光には簡単にひれ伏すけれど、隣人の経験談はあまり聞いてくれない、という危惧があり、少しでも興味を持っていただくためのきっかけを与えたかったからである。
この「形式知集」は、日本品質管理学会に入会し、その上でソフトウェア部会に参加することで無料で入手できる。ソフトウェア部会では、おおよそ1ヶ月に一回、会合を持ち、議論を進めている。現在のテーマは、いわば「遺言プロジェクト2.0」とも言えるもので、暗黙知の形式知化を見据えた活動を始めたばかりである。「学会」と聞くと、敷居が高いというような感覚を抱く方も多いようだが、極めて泥臭い話題で、わいわいやっている。部会メンバーの紹介であれば、一回に限り「お試し参加」ができる、という仕組みも作った。この原稿が公開されるのは8月の末ごろだと思うが、時期的にもちょうど良い。日本品質管理学会の「年度」は、様々な歴史的経緯から、10月~翌年9月である。今、入会申し込みをしていただくと、丸々一年間、活動に参加することができる。
それでも踏ん切りがつかない読者のために、「形式知」の一般公開版を差し上げることにしよう。「形式知」集がどのような感じのものなのかを知るために、3事例だけを掲載した「お試し版」である。掲載事例が3個しかないことを除けば、元の「形式知集」と同じ構造をしている。おおよそどのようなことが書いてあるのか、是非ご自分の目で確かめてみて欲しい。
興味を持ったら、ソフトウェア部会へご参加を。新しい人が一人加わることで、視野が広がり、議論の範囲も広がっていく。お待ちしています。