ポジティブアプローチ
ポジティブ心理学をベースにしたイキイキした職場作りと生産性の向上の手法
一般社団法人ポジティブイノベーションセンター
代表理事 渡辺 誠
4.ポジティブアプローチの効果
ポジティブアプローチは図-2のような考え方をベースにしています。ポジティブな考え方が根底にあることがお分かりいただけますでしょうか?この考えをベースに会話を進めると大きな違いを作れます。
図-2 ポジティブアプローチにおける基本的な考え方
このポジティブアプローチは人に自信をあたえます。人が継続的に積極的に仕事に関わるための秘策がここにあります。各ステップでどのようなことが起こりうるのか、一つひとつ見て行きましょう。
Step0 強みを活用する効果
強みとは ①、うまくできること、②、エネルギーのでること、③、よく使うことです。
ただ、うまくできるだけでは強みとはいえません。その人が時間を忘れるほど夢中になれる。それを使って仕事をしているときにワクワクする。そんなときに人は充実します。その充実感をつくってくれるのが、その人の強みです。
この強みを使って仕事をしていると、短い時間で高い成果をあげ、成功確率が高くなることがポジティブ心理学の研究成果で証明されています。強みをたくさん使うことができれば、その人にとってその組織は、やりがいのある意味のある組織になるのです。
マネージャーは人の強みをよく見ていく必要がある時代になってきました。人の強みは一人ひとり違います、その「違いがあって当たり前」という発想を、頭でだけでなく、自分が本当の心の深いところで理解できたときに、人を活かしきれるチームマネジメントができます。
Step1 ありたい姿の効果
メンバーのベクトルを合わすための一番大事な作業です。マネージャーの思いとメンバーの思いが違うことはどこの現場でも良くおきています。案外、プロジェクトをすすめていて、目的が合っていない仕事をしている人が多いものです。意味を説明し、仕事を達成した後で得られる効果をみんなが納得すると、ベクトルが合い、チーム力を最大限に発揮することができます。メンバー全員が絵を書いたようにありたい姿を明確にイメージできるようになることがポイントです。
Step2 よいことさがしの効果
うまくいっていることを大事します。うまくいっていることは繰り返して行い、さらに熟達させていきます。うまくいったことについてなぜうまくいったかの原因を聞いていくと、メンバーの強みや大切にしている考え方が分かってきます。
できれば、マネージャーがメンバーの方に「うまくいったことは何ですか?」「あなたが何をしたからうまくいったのですか?」という質問をしてくれるとメンバーのやる気があがります。そして、強みや自分の大切にしている価値観に気付くことは、これから先の継続的なやる気の維持に繋がります。
また、メンバーにとってはうまくいったことを明確にしていくプロセスで、自分が工夫し、努力してきた結果を理解してもらうことができます。人にとって、自分の努力や工夫を理解してもらうのはとても大事なことです。自分を理解してもらい、認めてもらうことによって自信を得ることができます。
Step3 うまくいかないことへの対処
うまくいかないことについてもあまり失望はさせません。失敗したそこから何を学ぶかという姿勢が大事にします。そして、失敗から学びを得たら、ありたい姿の未来に向かって、どうすればよいかと考え前にすすめていくのです。この姿勢も、職場にポジティブな風土をつくります。
この考えを進めるには、前提として、成功の裏には失敗があることを認めなければなりたちません。失敗は悪というような、減点主義の組織風土ではこの考えを浸透することができません。そんな組織には、どんな成功者でも、失敗の経験の上に、今の成功があることを意識付ける必要があります。
Step4 次の手さがし(選択肢)の効果
問題を解決するには、目標やありたい姿に向かって、いかに多くの選択肢を出せるかが課題です。ここでは、どのような方法があるのかを、たくさん出します。できるだけチームで考えましょう。ブレインストーミングなどの手法を使うことが多くあります。
創造性については、以下のことがポジティブ心理学では研究成果として発表されています。「ポジティブ感情が豊かな日にはより創造力が発揮される。」ポジティブ感情とは、充実・感謝・親和などがありますが、自分に対する肯定感と言っても良いかもしれません。自己肯定感をもてない人は、アイディアが出にくいだけでなく、出したアイディアも自信が無いので、採用されることが少なくなります。そして、なおさらアイディアが出にくくなります。アイディアを多くだせる雰囲気をつくるためにも、今までのポジティブアプローチで説明してきた、「強みを活かす」「よいことさがし」「うまくいかないことへの対処」などが大切になるのです。
Step5 次ぎの一歩の効果
次の一歩ではすぐできることや、すぐに手をつけられることから始めます。すぐできることですから成功の確率が高くなります。したがって、成功して自信をつけることができますし、この成功の積み上げが自己肯定感を強くさせます。マネージャーや周りの人からの承認や賞賛も得やすいし、本人もプロジェクトが進むので楽しくイキイキと仕事を進める事ができます。
勿論、難しいことにチャレンジもします。その際は、なるべくプロセスを細分化して小さな目標を達成していくようにすると進歩が分かりやすくなります。