すべてのソフトウェア開発者におくる:ソフトウェア品質シンポジウム2010
(株)インテック 技術部
藤井 彩乃
企画セッション
企画セッションは、SQiPシンポジウム委員会が提供するセッションです。各時間帯に1セッション、2日間で4つのテーマを企画しました。
1. 「リスクベーステスト、ここを教えて!~実践するときの悩みどころ~」
:永田敦氏(ソニー)、佐々木方規(ベリサーブ)
2. 「ソフトウェアプロジェクト・サバイバルガイド~火消の達人が贈る 混乱プロジェクトの救済法」
:香村求氏(システムSWAT)、長岡良蔵氏(テプコシステムズ)、桑原秀昌氏(TIS)
3. 「『ソフトウェア品質保証部長の会』からの情報発信!」
:江口達夫氏(アヴァシス)、梯雅人氏(日立製作所)、遠藤健史(インテック)
4. ソフトウェア品質を大いに語る
:板倉稔氏(ビズモ)、金子龍三氏(プロセスネットワーク)、大場充氏(広島市立大学)
私はリスクベーステストについて、企画から携わりました。委員の中でどこまでテストすればいいのか!と活発な議論がされたあと、企画をまとめるときは大変でした。領域の広い「テスト」の議論をから講師のお二人とともに方向性を相談し、リスクベーステストという手法知ってもらうこと、そしてもう一度この手法を振り返ってもらうことをテーマにすることにしました。当日は厳しいご質問もいただきましたし、シンポジウムの後にもコミュニティで議論がされ、テストにおける「リスク」について問題提起ができたのかな、と嬉しく思っています。
品質保証部長の会からの情報発信も興味深かったですよ。品質保証部長のみなさんで集まってどんな議論をしているのかみなさん興味があるようで、多くの参加者がありました。発表の中で紹介されている、会に参加している品質保証部長さん方のなかで行われたアンケート結果は必見です。品質保証部門の業務や権限などの、いろいろな傾向が明らかにされていました。自社の品質保証部門と比較してみると、また気づきがあるかもしれませんね。
チュートリアル
今年のチュートリアルは、下記のテーマでした。
1. 「ソフトウェア品質保証の構造的問題点と対策の指針」:保田勝通氏(つくば国際大学)
私は参加できなかったのですが、アンケート結果を見ると、内容的に満足度が高かったようです。資料が充実していますので、資料を確認するとそれだけでも学びがあるはずです。
講演資料:http://www.juse.or.jp/software/200/attachs/file003.pdf
SIG
SIG(Special Interest Group)は、テーマごとに各自で抱えている悩みや課題についてざっくばらんに情報・意見交換を行う場です。シンポジウムでは、「見る・聴く・話す・考える」をポイントの一つとしています。参加者はただ聴くだけでなく、参加者同士で情報・意見交換し伴に考えることを狙いとしています。今年度も、各コミュニティのみなさんのご協力を得て下記12のテーマで実施しました。
テーマ1:プロセス改善 | presented by SQiP研究会 |
テーマ2:レビュー | presented by SQiP研究会 |
テーマ3:レビュー | presented by QuaSTom |
テーマ4:テスト | presented by SQiP研究会&WACATE実行委員会 |
テーマ5:派生開発 | presented by SQiP研究会 |
テーマ6:プロジェクトマネジメント | presented by QuaSTom |
テーマ7:進捗会議 | presented by QuaSTom |
テーマ8:品質保証 | presented by QuaSTom |
テーマ9:ソフトウェアメンテナンス | presented by ソフトウェア技術者ネットワーク(S-open) |
テーマ10: SQuBOK | presented by SQiPシンポジウム委員会 |
テーマ11:メトリクス | presented by SQiPシンポジウム委員会 |
テーマ12:アジャイル開発と品質管理 | presented by SQiPシンポジウム委員会 |
私はテーマ8の品質保証のSIGに参加しました。3つのグループに分かれて、第三者検証は必要か、というテーマでディスカッションをしました。日ごろ第三者検証に関わっているみなさんの自慢話を聞かせていただきました。第三者だからこそできる指摘ができたり、品質向上に役立ったりした経験など、みなさん責任感と充実感を以て品質保証を実践していることがよくわかりました。
特別講演
今年度の特別講演は、「組織力を宿し、紡ぎ、磨き、繋ぐ」をテーマに東京大学の高橋伸夫氏に講演いただきました。経営とマネジメントに必要な組織力、つまり「一人一人ではできないような大きな仕事を皆でこなし、一人一人では突破できないような難関を皆でなんとか切り抜けること」についてお話がありました。組織力を「紡ぐこと」「磨くこと」「繋ぐこと」それぞれについて、たくさんの具体例を交えて紹介されました。大学の先生とは思えない(失礼!)勢いと迫力に、90分の講演時間ではとても短かったです。テーマと同名の書籍が出版されていますので、ぜひ読んでみたいと思います。