「SQuBOKの利用法:参照スタイルから進化スタイルへの提案(その4)」
株式会社NTTデータMSE
ソリューションサービス事業部
コンサルティング部 堀 明広
上記ではSQiPシンポジウムの論文を例にしましたが、このようなことは日科技連の「SQiP研究会」にも当てはまります。
SQiP研究会は、一年間かけて研究活動を実施しています。このSQiP研究会の研究成果は、研究会内部に留まらず、webを通じて一般公開しています。この研究会の活動は1985年から継続して取り組まれているものであり、優れた研究成果が出されています。しかしもったいないことに、これらの研究成果が知られていないところも多いように思います。
書籍、記事、論文。これらをもっと広く認知して活用していくことが必要です。
こういった問題意識から、ソフトウェア品質に関する情報や知見を皆で持ち寄り、SQuBOKの樹形図を軸にして体系化する仕組みを構築しようと考えたのです。
【ソフトウェア品質に関わる「書籍・論文・記事・規格・トピック」を共有するために】
●「Googleドキュメント」を利用する
ソフトウェア品質に関わる書籍・論文・記事・規格・トピック、これらを集約・共有していくために、検討の結果、「Googleドキュメント」を利用することにしました。
以下のGoogleドキュメントのサイトにアクセスしてみてください。
https://docs.google.com/open?id=0B_XVCi3QvasnZTdlZTI4MWUtNmJhMi00NGZkLTllMTAtMDE4YmI5OGEyZTI0
上記Googleドキュメントのサイトには「SQuBOKコレクション」を設定してあります。 「コレクション」とはフォルダに相当するもので、この中に様々なドキュメントを格納できるようにしてあります。
このサイトは、Googleのアカウントを持っていない方もアクセス可能です。
●「Googleドキュメント」の”コレクション”と樹形図
上記のサイトに設定してあるSQuBOKコレクションは、樹形図の形になっています。書籍・論文・記事・規格・トピック、これらソフトウェア品質に関わる情報は、Googleドキュメント上で文書化し、SQuBOKの樹形図に即したコレクションに格納します。こうすることで、情報が整理しやすく、閲覧しやすくなります。
Googleドキュメントのコレクションは、上述しているようにフォルダのようなものと考えれば分かりやすいですが、同時に"タグ"のようなものでもあり、1つの文書に複数のコレクションを紐付けることができます。
この仕掛けによって、SQuBOKの樹形図に沿って様々な情報が整理できるようになります。
●このSQuBOKコレクションに、誰が情報を掲載するか
今回設定したこのGoogleドキュメントサイトは、Googleのアカウントを持っていない方も含めてアクセス可能です。
SQuBOKユーザー会で蓄積した情報は、ユーザー会だけで閉じるものにはせず、広く一般に公開するようにしたいと考えているからです。
ただし、予め登録された者でないと、文書の登録・変更・削除は出来ないようにしています。
では、このSQuBOKコレクションに、誰が情報を登録するのか。
それは、SQuBOKユーザー会のメンバー全員で行いたいと考えています。
【「SQuBOKコレクション」を通じて活発な議論を】
私自身の感触ですが、ソフトウェア品質に関わるエンジニアは、組織の垣根を越えた交流が盛んで、横の繋がりが強いように思います。例えば、「SQiPコミュニティ」や「ソフトウェアテスト技術者交流会」等のコミュニティを母体に、各地域で自主的に、活発に勉強会等が催されています。私自身、このような勉強会や研究会活動をこれまで一生懸命にやってきましたが、その過程で多くの方々に育てていただいたと思っています。
このSQuBOKユーザー会の新しい活動を通じ,ソフトウェア品質に関わる者同士が組織の垣根を越えて交流し,意見交換・情報交換する過程で新たな気づきを得,それを共有することで,そこからまた新たな知見を産み出すことに繋がっていけばと願っています。
【現在の「SQuBOKコレクション」の状況】
上記に記載している旨を、日科技連のフリーコミュニティである「SQiPコミュニティ」に案内を出し、賛同者を募ったところ、10名ほどの方からコンテンツ登録の意志を示していただきました。
2012年1月末現在、SQuBOKコレクションに登録されているコンテンツは、17個です。まだまだ絶対数が少ない状況です。
このコンテンツの登録・共有化を通じて、ソフトウェア品質に関わるエンジニア同士が盛んに交流し、活発に議論していくことも大きな狙いとしています。この流れを作り出し、少しずつ育てていきたいと思っています。
【「SQiPコレクション」のこれから】
ここまで,SQuBOKユーザー会の新活動の狙いと現状を書いてきました。
この活動は賛同者を募りながら継続して取り組んでいきますが、SQiPシンポジウムの論文やSQiP研究会の研究成果は、その数はかなり多いので、有志による持ち寄り合いで紹介コンテンツを登録・蓄積するには、かなりの時間もかかりますし、漏れなく網羅することも難しいと考えています。
そこで、SQiP事業の成果物に関しては、計画的に役割分担して整理していくことを検討しています。
また、ソフトウェア品質に関わる者同士がよりコミュニケーションを取りやすいように、facebook等を活用することも検討しています。
上記の【現在の「SQiPコレクション」の状況】で説明したように、有志の間でアイディアを出しあい試行錯誤を始めたばかりです。 QualityOneの読者のなかで、コミュニケーションを活発にすることや、コミュニティでの情報交流に興味またはアイディアをお持ちの方は下記のSQiPコミュニティ事務局までご連絡をいただければ幸いです。
【連絡先】財団法人日本科学技術連盟 教育推進部 第二課
SQiPコミュニティ事務局 E-mail : sqip@juse.or.jp