特別企画 SQiP講演会「今求められる、中堅ソフトウェア技術者の人材育成」ルポ
財団法人 日本科学技術連盟 SQiP事務局
3.相談コーナー(希望者対象)
成果の紹介の発表が終了した後、希望者の方を対象に、相談コーナーを設けて、以下のような活発な議論が行われました。
Q1:問題というのは、ひとつひとつの現象ではなく、全体的な方向をとらえて対策を考えていく必要があるという
話があったが、それは賛成である。その際、それをどのように解決していくのか、具体的にはどうするのか。
A1:問題は作り込んだところまで遡る必要があるが、それが行えていないために根本的なフィードバックができないであろう。
テスト技法を習得するというのは、テスト方法を考えることであり、前提とする設計を考えることにつながる。
テストと設計を結びつけるところに解がある。つまり、複合設計、構造設計といったものが、なぜ生まれたのか、
何を解決するために生まれたのか、その点が説明されてこなかった。そのようなテストや設計の技術に遡って
問題の根源を明らかにすることで、解決の方向を見つけることができる。
Q2:技術者が会社にいなくなってきた。プログラミングを外部に発注しているため、プログラミングの経験を持たずに、
仕様設計する技術者が多くなっている。そのような場合にどうすればよいのか、解があるのか。
A2:社内の技術者は構造設計等の知識を持ったうえで、外部発注時に制約条件を提示することが必要である。
某企業では、機能が働かない無則を含めて同値分割することをやっている。動いてはいけない条件で機能が
動作しないかのテストを実践している。品質保証、開発技術などが原理原則を習得して、
発注先にも守らせることが大切である。それを省いて、中身の分からないプログラムの保守をしなければ
ならなくなるのは、非常によくない状態である。
Q3:モダンソフトウェアテストアカデミープロフェッショナルコースでトップアスリートを作ることも必要であるが、
それを展開することも必要である。技術面はわかったが、展開にはそれ以外の要素も必要である。
その展開はどのようにしているのか。
A3:分析時に展開も含めて検討している。技術者は関係性を作るのが上手とはいえないので、
それに対する関係性作りも本コースのカリキュラムに入っている。また、コース開催中は、参加者の上司への
状況連絡を随時行っており、成果発表会には上司にも出席してもらい、講師を含めた三者で改善を考えることを
推進している。
Q4:テストをする前に、レビューや設計方法をチェックしたほうが効果的ではないのか。
A4:プログラムの構造なども重要であり、それも本コースのカリキュラムに含まれている。
Q5:危機感をどうもたせるか。
A5:社外へ出て刺激を受けることも大事である。
Q6:原理原則が必要であることを現場にどのように教えていくか、気づかせるか。
A6:原理原則を理解していないと、問題が変わると適用できない。例えば、本コースの演習では、
考えなければはまってしまう落とし穴を体験するようにしている。
このように、相談コーナーに参加されたみなさん、中堅ソフトウェア技術者をプロフェッショナルへ育成する方法を悩まれている様子でありました。どんなに職場経験を積んでも、それだけではプロフェッショナルへ育成することができないのは明白であり、エンジニアリングの知識と応用力だけではなく、ビジネスセンスや対人スキルを含めプロフェッショナルとして自立していくことが大事なターニングポイントであります。しかし、多くの職場ではターニングポイントとなる機会に恵まれることがなく、成長の機会を失っているように思えますが、この機会は、職場という狭い井戸の中から、広い世界に飛躍することも大事であります。そのために、日科技連が提供する、モダンソフトウェアテストアカデミープロフェッショナルコースをぜひ活用し、プロフェッショナルが不足している検証、テストの分野を対象としたプロフェッショナル育成に役立てていただきたいです。